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おいでよFUSIONの沼【DaVinci Resolve ラジオ】

映像制作ソフトDaVinci Resolveにおいてカラーグレーディングと並んで「重要かつ超楽しい」とされる機能、それがコンポジット(合成)機能である「Fusion」です。今週の「DaVinci Resolve ラジオ」では、この奥深くも難解な「Fusionの沼」について熱く語り合いました。

本記事では、Step2運営者3人の実体験に基づきAfter Effects(以下AE)やAutodesk Flameといった他ツールとの比較を通じて、Fusionの特異な立ち位置と魅力を紐解きます。

1. 「男らしい」インターフェースとの出会い

現在でこそDaVinci Resolveに統合されているFusionですが、Blackmagic Design社による買収(2014年頃)当初は、Mac版のリリースが待ち望まれていた独立したソフトでした。

当時からFusionに触れていたホストは、その第一印象を「とっつきにくい」「男らしい操作画面」と表現しています。ユーザーフレンドリーとは程遠く、まるで「触るな」と言わんばかりの武骨なデザインに加え、当時はマニュアルもチュートリアルもほぼ英語のみ。小町さんと僕などはiPadにマニュアルを取り込み、辞書を引きながら赤ペンで書き込みをして機能を解読するという、まるで受験勉強のような苦労を経て習得しています。

アニメ業界で働く小町さんは英語のトレーニングブックを毎晩読み込み、その1ヶ月後には業務で他人にFusionの使い方をレクチャーできるまでに至ったとのこと。僕らにとってFusionは決して最初から優しいツールではなく、格闘して勝ち取るべき技術とでもいうようなものだったのです。

2. レイヤーベース(AE)からの解放

多くの映像制作者が通る道であるAdobe After Effects。レイヤーを積み重ねていくAEに対し、ノード(機能を持つ箱)を線で繋いでいくFusionへの移行は思考の転換を迫られます。

しかし、一度その構造に慣れてしまうとFusionは圧倒的な自由をもたらします。AEユーザーが抱えるストレスの一つに「プリコンポジション(ネスト化)」があります。複雑な合成を行う際、レイヤーをまとめて「箱」に入れる作業ですが、これを行うと中身の修正が面倒になったり、階層が深すぎて構造が把握しづらくなったりします。対してFusionはノードツリーという「地図」や「路線図」のような全体像を常に俯瞰できるため、過去のプロジェクトを見返しても構造が一目瞭然であるというメリットが語られました(なんなら画面内にメモ書きも残せます)。

また、かつてのAEではマスク処理のためにレイヤーを複製する必要があるなど、非合理的な仕様への不満がありましたが、Fusionではノードを繋ぎ変えるだけで自由に親子関係やマスクを変更できる「モダンで合理的」な設計が評価されています。

3. ハイエンドツール「Flame」との意外な関係

さらに興味深いのは、ハイエンド合成システム「Autodesk Flame」経験者である松尾さんの視点。Flameもノードベースですが、Fusionとは「作法」が決定的に異なるというのは目から鱗でした。

Fusionは「出力から入力へ」線を繋ぐのが基本ですが、Flameは「入力から出力へ(もらいに行く)」という逆の動線で設計されています。また、Flameには「Action」という、一つのノード内で合成・変形・トラッキングなどが完結する多機能ノードが存在しますが、これは便利である反面、中に入らないと何が行われているか見えない「入れ子構造」になりがちです。

対してFusionは「1機能1ノード」という単機能な作りになっており、ノード数は増えますが一覧性が高く、何をしているかが可視化されやすいという特徴があります。松尾さんは曰く、ペイント(バレ消し)作業などは画面上のピクセルを直接操作する感覚よりもノードで論理的に組むFusionの方が修正や管理が容易であるとのこと、なるほどそういった部分でもFusionの強みが光っているワケですね。

4. 適材適所:それでもAEを使う理由

一方で、Fusionが万能というわけではありません。デジタルサイネージ広告など、ピクセル単位での厳密なレイアウトが求められる仕事では絶対値で管理できるAEの方が圧倒的に作業しやすいという意見も出ました。
Fusionは相対的な配置や、ノード処理によるハーフピクセル(滲み)が発生しやすく、文字を美しく配置・移動させるモーショングラフィックス的な用途には工夫が必要なようです。

まとめ:沼の先にある自由

「最初はとっつきにくいが、慣れるとAEよりずっと楽しい」。参加者全員が口を揃えるのは、ノードベース特有の論理的な構築の面白さです。アニメ制作の現場でも、AE一辺倒だった体制から、テロップワークや特定のカットでFusionを活用する動きが出てきています。

動画の最後には、DaVinci Resolveユーザーが集うイベント「DRUMフェス(2026年1月30日開催)」の告知もありました。孤独にマニュアルを翻訳していた時代とは異なり、現在はこうしたコミュニティや日本語の情報も増えていますし、僕ら3人が運営しているStep2なんていうものもあります。

一見難解なパズルのように見えるFusionですがそのロジックを理解した時、クリエイターはレイヤーの積層から解放され、より自由な映像表現の「沼」へと足を踏み入れることになるのです。

おいでよFUSIONの沼!

「DaVinci Resolve ラジオ」は毎週土曜日の22時に以下のプラットフォームで配信しています。

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