”オンラインコミュニティーStep2”

画質でフルサイズ機を完全凌駕のGFX100Sから見えるカメラの今と未来

使い始めてはや1年を経過した愛機GFX100Sの製品レビュー動画をようやく配信することができた。今回からYMRchannel始まって以来初の8Kコンテンツとなり、今後は4K〜8Kの範囲でコンテンツを配信していくこととなった。

カメラの最重要パーツともいえる撮像素子、この撮像素子が中判というラージフォーマットにカテゴライズされるGFX100Sだが、僕としては初の中判機であり、それに対してフルサイズ機はキヤノンの初代5Dから使い始め、その後複数台のフルサイズ機を使ってきたという経験をもってして「GFX100Sはバケモノ過ぎた」といった内容となっている。

レスポンスやAFは中の下ながらも全体的な使い勝手は良好

本記事ではレビュー動画の中では尺の都合上伝えられなかったことを中心とする予定ではあるものの、大前提として「僕はGFX100Sというカメラを一般的に市販されているカメラの中で圧倒的な至高の一角として最高に気に入っている」ということをまずは伝えておきたい。

富士フイルムならではのクラシックなデザインにはじまりサイズ感や質感、それ以外の要素の多くを気に入っている。今時のカメラとしては機能は少ないが、その分メニュー構成も他と比べシンプルで常にMFをメインに使用している僕のような人間にはそれがありがたい。

GFX100Sの主なスペックと価格。
GFX100Sの主なスペックと価格。

特にピントの拡大機能は便利でお気に入りのひとつ。本体背面右上にあるコマンドダイヤルを押し込むことで機能するが、ピントを合わせ終わったらそのままシャッターを半押しするだけで元の表示に戻ってくれるため、あとはシャッターを押し込むだけでいい(ニコンのZ8ではこれができない)。

本体背面右上にあるコマンドダイヤルを押し込むことでピント合わせのためのズームが可能。
本体背面右上にあるコマンドダイヤルを押し込むことでピント合わせのためのズームが可能。

1億画素オーバーのGFX100Sにとってピントのズレは致命的。どれくらいセンシティブかというと、メカシャッターに設定している状態だと生半可な三脚、さらにはタイマー撮影をしてもブレが視認できてしまう。
余程の高速シャッターでもない限り常に電子シャッターを使うようにしているほど…そんなもんだからAFはあまりアテにできない、1枚1枚にじっくり向き合って丁寧なピント合わせと撮影という動作を求められることになるが、そこがまたとても気に入っている。

そんなAFの速度と精度は先に書いた通りあまりよろしくなく、街中でのスナップ程度なら妥協はできるものの満足できるような写真を撮れたためしがない。ここらへんは僕がMFをメインに使っている関係できちんと設定を追い込めていない可能性も十分あり得るという前提で書いているが、まあ速度的な話だけでいってもZ8の方が圧倒的に高速(精度も高いように思える)。

動画性能は「オマケ」

元々スチル撮影のみでしか使う予定がなかったため期待していなかった動画撮影性能だが、実際に使ってみると想像以上の画質ではあるものの、4Kで60pが撮れないことや4:2:0 10bitという仕様、そしてきつめのローリングシャッター歪みで業務ではとてもではないが使えない。
富士フイルムとしてはこの機種で動画性能を中途半端に突き詰めるよりスチル性能に全振りした方がいいとの判断だろうし、それは僕としても歓迎すべきことではあるので問題とは思わない。そういう意味でGFX100Sの動画撮影性能はただ搭載されているだけのオマケくらいの感覚でいた方がいいと思う、それはたとえBlackmagic Designの外部レコーダーを利用してBRAW収録ができるようになったとしても変わらない。

動画の画質は三脚に固定して利用する分にはかなりの高画質。ただし解像感が高すぎて少し不自然に見えることも。
動画の画質は三脚に固定して利用する分にはかなりの高画質。ただし解像感が高すぎて少し不自然に見えることも。

フルサイズ機を寄せ付けない圧倒的なスチル画質

このカメラは野鳥やスポーツ選手を撮るのに適したカメラではないし動画を撮るのにも適していない、その真価は画素数を要因としないであろう「超高品質なスチル画質」の一言に尽きる。

レビュー動画の中ではYouTube側の圧縮もあり少し分かりづらくなっているが、GFX100Sで撮影したスチルの等倍表示は猛烈にシャープで高品質。あまりにもシャープすぎてシャープネス処理をほとんど必要とせず、その等倍表示のままで一部を切り取ってグラフィックの背景素材として利用できてしまうほど。

僕は長年フルサイズ機を使ってきたが、実はこの「等倍で見た時の画質」がいいという製品を見たことがなかった(EOS 5Dはもちろん、α7RⅣですら)。
画面にフィットするカタチで表示するなどすればどれも同じ程度にはキレイに写るものの、いざそれを100%(等倍)表示にした瞬間にシャープネスは失われてパッとしないクオリティーになってしまう。

それを補う意味でシャープネス処理を適用すれば多少シャープにはなるものの、代わりにエッジが太り不自然なイメージになってしまうので使わないで済むのであればあまり使いたくない手段だ。

素の状態でも十分シャープということもありGFX100Sで撮った写真は200%や300%に拡大してもフルサイズ機の等倍表示と同等かそれ以上の解像感で、購入して間もないニコン Z8と比べてもその差は歴然。同じベイヤー式のイメージセンサー搭載機であるにも関わらずこの圧倒的な差はどこからくるのか、未だにサッパリ理由が分からない。

Z8との画質比較。どちらとも200%に拡大表示しているがGFX100Sの方は画質の劣化が少ない。
Z8との画質比較。どちらとも200%に拡大表示しているがGFX100Sの方は画質の劣化が少ない。

レビューの中でも少し言及しているが、同じ構図を同じ画角、同じ設定で撮影しているがレンズだけは単焦点のGFX100Sに対してZ8は24-70mm F2.8のズームレンズを使用していることには少しだけ注意が必要。価格差は1.5倍ほどニコン製のズームレンズが高価なものの、一般的には単焦点の方が画質の点では有利であるからだが…正直ここまで差があると「もしZ8のレンズを単焦点に変えた結果GFX100Sと同程度の画質になるのであれば、その無駄に高いズームレンズなんて捨ててしまえ」と思ってしまう、それくらい圧倒的な差があるのは動画を(極力大画面で)観れば理解してもらえるはずだ。

余談だが、過去にこのGFX100Sと同等かそれ以上の解像感に驚かされたカメラがある。
型式は忘れてしまったが10年近く前に発売されたシグマのFoveonセンサーを搭載したカメラで、そのあまりの解像感に度肝を抜かされた。その後のシグマ製カメラでは当時ほどインパクトのあるイメージを出力できるカメラは出てきていないように思われるが、あの時見た強烈な写真は夢か幻だったのだろうか。

EOS R5とDC-S5はどちらも画質に大差なし。ボケボケなベイヤー配列の限界にレンズが泣く?

次にGFX100SとキヤノンのEOS R5、パナソニックのLumix DC-S5の3台で同じ構図、同じ設定で撮影したものを見てみよう。
GFX100Sのレンズは63mm(35mm換算で50mm)の単焦点、R5はEF24-105mm F4L IS II USM(公式ショップで購入すると約18万円)、DC-S5はLUMIX S 20-60 mm F3.5-5.6(公式ショップで購入すると約7万円)という構成となっている。

下の画像のシーンでは3台の中では圧倒的に低画素となるDC-S5は400%ほど、R5は300%ほどに、そしてGFX100Sは200%ほど画像を引き延ばして細部のディティールを確認している。
ここですぐに気が付くのがGFX100Sの画質だけが突出していてあとの2台はボケボケで優劣を付け難い結果になっていること。さらに突き詰めて注目すべきはその優劣付け難い2台がたった2400万画素程度しかないDC-S5と、その倍近い画素数を誇るR5であるということで、お互いの画質がほぼ同じ、しかもR5のレンズは倍以上の価格差のあるLレンズだという点だ(ついでにボディ本体の価格もおよそ倍)。

EOS R5とDC-S5を加えての比較。GFX100Sは200%、R5が300%、DC-S5が400%に拡大している。
EOS R5とDC-S5を加えての比較。GFX100Sは200%、R5が300%、DC-S5が400%に拡大している。

ずっと前から気が付いていたことではあるが、今のフルサイズ機に画素数の大小は無意味だ。画素数を増やすこと自体難しいことではないのは昔から言われていた(難しいのはその上でノイズやダイナミックレンジなどのトータルでみた場合のバランスを取ること)。
さらにいえば、この結果を見ても分かるようにもはや画素数が画質を意味する時代ではないどころか、実質的な画質としては半分の画素数ですらまともに扱えない、もしくはレンズ性能的に解像できないのではわざわざ高いお金を支払ってまでレンズを買う意味がどこにあるのか。
もちろん、レンズにおける「解像性能」というのはレンズ全体の性能を示すひとつの指標であって、画質に及ぼすその他の要因はいくつもあるため先に書いた意見は少し暴論だと自分でも思う…が、GFX100Sとフルサイズ機のカメラたちとの比較における画質差はそういうことにでもしない限り説明できない、それくらいに次元が違う。

この差は撮像素子の優劣なのかレンズ性能なのか、ひょっとするとその両方からくるものなのかもしれないが、今でもGFX100Sで撮影したデータに現像・レタッチのために向き合う時、その圧倒的な画質と莫大な情報量に息を呑み、フルサイズ機のそれに向き合った時は少しガッカリしたような、やる気を削がれる気分にさせられている。

フォローお願いします

映像制作やYouTube、動画マーケティングなどに関する情報を配信中。

”Step2バナー”
0 0 votes
Article Rating
Subscribe
Notify of
guest

0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments
PAGE TOP