”60歳からはじめる動画編集”

DaVinci Resolve for iPad比較レビュー

前回のエントリーで投稿したDaVinci Resolve for iPadのレビュー記事。その後時間を割いてそれなりに使い込むカタチでテストをすることができたのでYouTube用の動画コンテンツとして配信した。


僕はM2 iPad Proだけではなく第9世代の無印iPadも所有しているので、どうせなら両方を比較しながらレビューしてみようということになり、それによって面白い発見もあったのでこちらでも少し報告させてもらう。

どちらも快適操作ながらも速度差はおよそ3倍。

まず最初に、以前投稿した内容についての訂正をさせてもらいたい。

前回の記事で「無印iPadでDaVinci Resolveを使うと起動や素材の読み込みが極端に遅い」と書いたが、その後はiPad Proとの性能差に相応の速度で落ち着いた。理由はわからないがインストールしたばかりだったのが影響しているのかもしれない。

訂正ここまで。カットページ・カラーページの2ページだけというシンプルな構成(でも高機能)になったiPad版は見た目もなることながらその使い勝手も両ページともに概ねデスクトップ版と同等で、既存ユーザーであればそれほど迷うことなく作業を開始することができるだろう。

DaVinci Resolve for iPadの操作画面(カラーページ)。
DaVinci Resolve for iPadの操作画面(カラーページ)。

ただ、タッチ操作に最適化している部分もあるため操作感が少しだけ変わっている部分もあるため、この点に関しては多少の慣れが必要だ。
操作面に関してiPad Proと無印iPadに違いがあるとすればApple Pencilでのホバー操作がある。
iPad Proと第2世代Apple Pencilでメディアプールにあるクリップやタイトルエフェクトなどの上でペン先を少し浮かせた状態で左右に振ると、それに合わせてそのクリップやエフェクトのプレビューを確認することができる機能だが、それ以外の操作感に違いはないため、あとはその快適性の違いは性能差によるレスポンスの違いであったりレンダリング速度であったりする。

iPad Proでのホバー操作。ペン先の動きに合わせて高速にプレビューを確認することができる。
iPad Proでのホバー操作。ペン先の動きに合わせて高速にプレビューを確認することができる。

FHDのタイムラインにそれぞれ別の形式かつ4Kサイズのクリップを並べての再生パフォーマンスの比較テストでは、グレーディングをしていない状態であればお互い大きな違いはないがグレーディングをした状態だとそれなりの性能差が現れるし、Fusionクリップの再生パフォーマンスも同様。ここらへんはさすがはiPad Proというか、かなりの余裕をもって編集に臨める安心感がある。

無印iPadのパフォーマンスも悪くはないものの、H265 4:2:2 10bit素材に対するグレーディング時の処理速度の落ち込みが顕著で、カラグレを無効化でもしない限り快適な編集作業は無理だろう。

H265 4:2:2 10bit素材をグレーディングした時に性能差が顕著に現れる。
H265 4:2:2 10bit素材をグレーディングした時に性能差が顕著に現れる。

編集したタイムラインの書き出しにはクイックエクスポート機能を利用。
ここで無印iPadはおよそ20fps、iPad Proはおよそ60fpsでのレンダリング速度になった。
お互いのGPU性能の差を考えるともう少し差が開いてもおかしくないが、このあたりは今後もう少しテストしてみる必要がありそうだ。

ProRes422素材の再生にはMチップが必須?

さて、説明が前後してしまったが、実はこの再生パフォーマンステストの時に真っ先に気がつくある問題がある。
タイムラインに並べた4つのクリップのうち、ProRes422 HQ形式のクリップのみが再生不可になってしまっているのだ。

ProRes422 HQの素材を再生したところ。無印iPadがオフライン状態になっている。
ProRes422 HQの素材を再生したところ。無印iPadがオフライン状態になっている。

最初はデータの不備を疑ったが、Fileアプリからも再生不可であるばかりか同じデータをiPad Proでは問題なく再生できてしまう…確認は取れていないが、これはひょっとすると搭載するチップの違いによるものなのかもしれない。

無印iPadにはAシリーズのチップが積まれ、第5・第6世代のiPad Proにはメディアエンジンを積んだMシリーズのチップが積まれているが、この差がProRes素材に対する違いを生んでいるとしたら、(需要があるかどうは別として)業務でProRes素材をよく扱い、かつそれをiPadで編集したいと考えている方は注意した方がいいかもしれない。

全体的に快適に動作するも低すぎる安定性が今後の課題

それなりに使った上でのレビューとなったが、iPad版の完成度は異常に高いというのが率直な感想だ。
デスクトップ版からそれなりに機能が省かれてはいるものの、10万円もしないiPadでここまで「本気の動画編集」ができる時代がようやくきたかと軽く感動するレベルで衝撃を受けている。

今後は他のページが追加されていき、最終的にはデスクトップ版に限りなく近い機能を搭載していくことになるであろうDaVinci Resolve for iPadだが、個人的には当面の課題は機能性などではなく安定性だと思っている。

iPad Proと無印iPadの両方にいえることだが安定性がかなり低い。
利用中にアプリが強制終了する場面に多々遭遇したが、それだけではなくアプリがフリーズして利用できなくなってしまうことがあった。
特にメモリ容量の少ない無印iPadにはそれが顕著で、これではとても実用的とはいえない。iPadOSに起因する部分もあるだろうが、ブラマジにはすでに機能的に大半のユーザーのニーズを満たしているであろう現バージョンの安定化にそのリソースを割いてもらいたいと考えている。

この問題を解決することができれば多くの人が「iPadで動画編集するならDaVinci Resolve」とイメージしてもらえるくらい普及するに違いない。

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