”オンラインコミュニティーStep2”

Apple SiliconでMac Pro 2019は「オワコン」になるのか?

2020年6月、WWDCにてAppleより発表された「Apple Siliconプラットフォーム」。これにより近い将来、脱インテルを図り段階的にシステムをシフトさせていくというAppleの姿勢が判明した。既存のインテルMacを並行して開発・販売していくというAppleだが、そこで個人的に大きな関心事であるMac Proについて考え得る未来について書いていく。

なお、今回の記事は個人的願望も多分に含んでいることを先に断っておく。

2年の移行期間と気になる移行後の数年間

Appleの発表により分かっていることは、新しいプラットフォームへの移行は次期OSであるmacOS Big Surからはじまり2年の移行期間を設けること、さらにはその間もインテル製Macの開発・投入を継続し、アプリの動作環境に関してはUniversal 2・Rosetta 2というふたつのツールを用意して開発者やユーザーへの影響を最小限に抑えるということだ。

思い返してみると、過去にPowerPCからインテルに切り替った時は特段大きな問題は起きなかった(Adobeの場合、CS3からインテルMacに対応したがCS3自体の出来に加え、インテル性CPUに最適化されたことによる高いパフォーマンスで周囲での評判は高かった)ように覚えているが、その時と同様に進めていけるのであればAppleは今回も新しい環境への移行をうまく促していけると予想しているが、単に「動く」ことと「最適化されている」ことは別の問題。グラフィック制作程度の軽い処理であれば快適に使えるかもしれないが映像制作などの高いGPU性能を必要とする業種だと当面は問題が出てくると思っている。

足を引っ張るのはビデオカードのピーク性能?

小難しいことは考えず、ただシンプルに新しいプラットフォームに移行するとなると浮かんでくるのは「メモリやディスプレイ、ストレージ周りのインターフェイスはどうなるのか」ということだ。
これらは新旧絡めた方法が提供されることになるのかもしれない。GPUは自前(A14Xシリーズ?)で用意するとしてメモリはどうなるだろう、ユニファイドメモリアーキテクチャ(システム全体でメモリを共有)の採用で極めて高いパフォーマンスを引き出してきたAppleのことだからメモリその他諸々をボードに直付けしてユーザーによる増設は不可にしたいと考えているかもしれないが、Mac ProやiMacはユーザーが自由にメモリを増設できる仕組みになっている。iOSデバイス同様のアプローチで性能を引き出そうとするとするのであればMacBook系はともかく一部のデスクトップ型とは相性が良くない場面が出てくる可能性がある。

映像制作においては近年ビデオカードの性能を活かしたパフォーマンスの向上や機能が増えてきており、それは今後数年は変わらないだろう。さらにいえば僕がいつも利用しているDaVinci Resolveのようなハイエンド映像編集ソフトはよりその傾向が強く、そういう意味では去年発売された現行Mac ProのGPU性能(Radeon Pro Vega II Duo×2)はとても魅力的だ。僕はこのMac Proに搭載できる最高のGPUオプション(100万円超)で得られるピーク性能を今後2年間のうちに登場するApple Silicon搭載Mac Proが越えられることはないと予想している。
これまでと同様にAMD製のGPUを搭載するのであれば話は別だが低発熱・低消費電力を謳う新プラットフォームでそれを継続するとは考えづらい、例えばA14X(実際はMac用の別グレードになるかもしれないが)を8〜16個ほど搭載して並列処理をさせれば現行Mac ProのGPUに近しい性能は引き出せるかもしれない。

ただし、ここでもうひとつ気になる要素が出てくるが、それが「ソフトウェアの最適化」だ。どれだけ本体の性能が高くても登場したてのシステムにソフトウェアの最適化が追いついてこれなければ本来持つ性能を引き出すことはできない。DaVinci Resolveはv17の登場が遅れていることから予測するとかなり早い段階(ひょっとするとApple Silicon搭載Macと同時に)で新しいプラットフォームにも対応してくる可能性もあるものの最初からその性能をうまく引き出せるとは考えていない。普通に考えればDaVinci Resolveやその他の業務用アプリケーションが新しいプラットフォームの性能をうまく引き出せるようになるには年単位での時間が必要になるはずだが、これに加えてBlackmagicやその他のソフトウェア企業が現行のシステムをいつまでサポートするのかという問題のふたつを考えた時、今Mac Proを買うのは「どちらかというと得策ではない」という結論に達した。

結局は移行期間。長いスパンで物事を考えた時に現行のMac Proを買うよりも2世代ほど先のMac Proを買う方がいいと思える。Apple製によくある「1世代目は様子見」を実践し、その後比較的すぐ登場するであろう2世代目が安定してパフォーマンスを引き出せる環境も出来ていると。

今すぐ8Kコンテンツを撮る機材があるなら現行型を買った方がいいかもしれないがなかなかそういうことにはなりそうにもない、それであれば今使っているMacBook Proでも当面は困る場面は少ないワケで、ここはひとつ気長にMacの進化と動向を見守ることにしたい。だが、気持ちとしては8Kコンテンツを早く作りたいというのはあるので、チャンスがあれば撮影機材だけでなく現行Mac Proの購入というのは常に選択肢に入れてはいる。

それから、Appleが新しいMacの性能をどうやって訴求していくのかということや、発売する際の手法が気になっている。例えばこれまでCTO(Configuration to Order)であったCPUやメモリの増設といった分かりやすい性能の上下が複雑になるのかシンプルになるのか、それともそもそもCTOがなくなってしまうのかといったものだが、ここらへんは時間があればまた別の機会に投稿しようと思う。

最後になるが、実は意外に「Apple Afterburner(強力なProRes専用のアクセラレーター)」がどうなるのか気になっている。現行型から登場した新しいオプションだが、これがたった1代で終わってしまう超短命システムなのか、それとも今後カタチを変えてMacに搭載されていくことになるのか…もちろん後者を期待するが効率は高くなさそうだから多分なくなるんだろうなあ。

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