新型Mac Pro登場に見えるガッカリ感

WWDC 2023が開催された。僕としては今回は事前に確度の高いと思われる情報が出ていることは知ってはいても特に関心もなく、twitterなどを見ていても一度もこのイベントに触れるものがなかったので…多分他の多くの人も同じようなカンジだったんだと思う。

そんなWWDCにおいて長年噂されてきたMRヘッドセット「Apple Vision Pro」が発表されたものの、その後の株価下落を引き起こすほどの価格設定と発売日が来年という、これまでのAppleではなかったような発売スケジュールということでそれほど喜ばしいこととは言いづらい。
VRやらAR界隈はかなり下火になってきている気がするが、このデバイスの登場までにまた違ってくるのか、それともこのデバイスによって風向きが変わるのかは予測がつかないものの、個人的には「長期的に見れば成功するだろうけどそれまでは大分時間がかかりそう」といったカンジ。
素晴らしいものであるに違いないが、バッテリーが外付けであったり、そのバッテリー駆動がたかだか2時間というのではただのガジェットレベル。そういう部分を解決してより洗練されたシステムと、iPhone並に手に入れやすい価格設定が揃ってからが本番ではないだろうか。

余談となるがこのデバイス、来年発売というのに搭載するチップはM2とのこと。来年となればより高性能・低消費電力なM3チップが量産される時期と被りそうな気がするがタイミング的にいかがなものか。ここまで高価なデバイスなのに旬を大きく過ぎたM2チップの搭載はマーケティング的に見てもマイナスだと思うが…。

Mac Pro、お前もか

さて、本題のMac Pro。
なんだかんだでAppleシリコンへのかじ取りを宣言した期限を破ることになったものの、ようやくM系チップを搭載したMac Proが登場し、これで当初の宣言が全て達成されたことになる。

半年以上前からチラホラ聞こえていた「Extremeチップ」開発が難航しているというのは当たっていたようで、発表されたMac Proに搭載されたチップはM2 Ultraであり、それは同時に発表されたMac Studioと同じものだ。

以前から何度か触れているが、今のM系チップは優秀ではあるもののグラフィック性能が貧弱すぎる。
M1 Ultraを積んだMac StudioのGPU性能がNvidiaの最新GPUの1/4程度の性能しかないのにM1 Ultraより1.4倍高性能化したからといって現状は何も変わらないのだ。仮にExtreme系のチップがUltraの倍の性能になったとしてもそれでも全然足りない。

GPUの性能は映像制作において相当重要な役割を持つので余りあって困るものではないし、DaVinci Resolveを利用する上で最も重要となるパーツもまたGPUである。4Kコンテンツですら複雑なグレーディングやノイズリダクション、Fusionを利用したモーショングラフィックや合成作業を含んだ実務レベルでの作業でM2 Max搭載機では快適に作業ができるとはとてもじゃないが言えない。個人的には「最低でも今の4倍の性能は欲しい」と考えているのに、2倍の性能のマシンを出されたから「それならいいか」な心情にはならないということだ。

得られたのは価格の幅とデザインの方向性

そんな理由により今回のMac Proの発表には心が揺れ動くことはなかったものの、その価格（ベースモデルで100万越え…）や、拡張可能性を維持したままの筐体デザインの踏襲という面においては今後のMac Pro、それもちゃんとExtremeチップを積んだMac Proを考える上で得るものはあったと考えている。

いくらExtremeを積んで大幅パワーアップを謳っても拡張性を犠牲にした筐体変更はさすがのアップルでも難しいだろうから、デザインは多少変わっても拡張性を維持するという方針は当分変わらないと思う。
価格に関しては仮にM3（？） MaxからM3 Extremeへのカスタマイズが+40万円、メモリが192GBから384GBへのカスタマイズで+45万円あたりだと考えれば大体200万円程度で購入できることになる（ストレージやそれ以外はカスタマイズなし）。

これに加えて他の差別化要因があればまた価格は上乗せされるかもしれないが、それがないとすると為替相場が同じであればこの価格帯と大きく変わることはないハズ。高価なことには違いないが2019モデルと比べればまだマシ、失礼な話、今回のモデルを買う価値はないが次期モデルを買うための資金計画の参考にはなった。

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@omineZ