「カメラから出力される映像を手元で確認できるようにしたい」- この願望は以前からそれなりにあった、というか必要性があった。
それは継続して受注している業務の中に「クライアント同伴による撮影・編集案件」があるためで、その案件でクライアントが確認するためだけのモニターが欲しいと考えたことによるが、幸いなことに今回Hollyland（ホリーランド）より発売されている「Mars 300 Pro」という製品をレビューさせてもらえる機会を得たのでいくつかのテストを行ったのち実践に投入してみた。
この製品に関するレビューは動画としてYouTubeで公開済みなものの、スペックや使い勝手などといった実用的なレビューは動画の方で、本記事ではより長時間利用してみたあとの所感とクライアントからの感想についてお伝えしていきたい。
業務にもプライベートにも使えるワイヤレス伝送システム
先にこの製品の機能についてざっくり説明させてもらうと、Mars 300 Proという製品はHDMIで接続することのできる機器（主にカメラ）から出力される映像と音声データを無線で遠方にあるモニターやiPhone/iPadなどに表示させることができるものだ。
そのために送信機と受信機がセットになっているわけだが、こういったデバイスがあることによるメリットを理解してもらいやすくするために比較的身近な話題でいうと「自撮りをする時に常に映りをチェックすることができる」といったあたりが適切じゃないかと思う。
僕の場合だと自分のYouTubeコンテンツを制作する際、画角を決めたりピント合わせに活躍するといったように、割と利用範囲の広い製品なのだ。
いざ実践投入。クライアントの反応は…
何度かのテストを終えたあと、たまたま冒頭で述べた案件が入っていたためそこにMars 300 Proを投入してみた。
組み合わせるカメラはいつも愛用しているBlackmagic DesignのBMPCC4KとFeelworldのLUT5というフィールドモニター（新製品。この製品に関しても後日記事を投稿予定）。
室内での撮影であったものの気温約5度という「涼しすぎる」環境で8時間ほど連続で稼働させてみたところ、期待していた通り一切のトラブルなく機能してくれた。
それだけでも収穫だったが、それ以上に大きな収穫がクライアントの反応。
これまでシーンが変わるごとにわざわざカメラをのぞき込むという作業が、Mars 300 Proを導入したことでなくなり、細かな画角チェックや構成チェックを複数人で行えることにより「現場の一体感」がグッと増したように思える。
撮影終了後、今回の新機材導入の感想を訊いてみたところ「もうこれナシじゃ生きていけない」というストレートなご回答。僕としても業務上効率化に寄与するばかりか、むしろこれがないとかなり不都合があると思えるシーンがいくつもあり、とても助けられたというのが正直な感想だった。
たまにある接続トラブルあれこれ
業務外で長時間使っていて判明したことだが、ごくごく稀に送信機と受信機がうまく接続できないことがあった。
本体側でできる操作では全く改善できる気配がなかったため、仕方なく電源のオン/オフを何度か繰り返したところ何事もなかったかのように解決したが、これが業務中に起こってもらっては困るので詳細なオンラインマニュアルでもないかと探してみたが見つからない（製品に付属している説明書の内容はとてもシンプルかつ情報量が少ない）ので今のところ具体的な解決方法は不明。
それからもうひとつ、伝送された映像の品質について少し問題が起きることがある。
これはトラブルというより仕様上の問題なのかもしれないが、特定の状況、僕が把握している限りだと低照度環境による映像品質が著しく低下する印象だ。
具体的には「解像感や階調の再現性が低下する」といった現象が起こる。別件でHollylandの担当者に質問した際に「Mars 300 Proは映像データを8Mbpsで伝送する」といった解答をもらったことがあったが、そのビットレートにしては画質が低すぎる。Mars 300 Proに内蔵されているハードウェアエンコーダーの性能に問題があるのかもしれないが、何はともあれこの現象を把握しておけば実使用にはほとんど影響はないためあまり気にすることもない。
トラブルはほんの少しだけあるものの、製品の出来自体にはとても満足しているしクライアントの反響もこれ以上ないくらい好意的。
業務として映像制作をされている方であれば単純な利便性のためにも、クライアントの満足度向上のためにも持っておくべきマストアイテムだと断言できる。
Hollyland Mars 300 Pro販売ページ（システムファイブ）
https://www.system5.jp/products/n1155175
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