”60歳からはじめる動画編集”

M1&M2チップの実力は本物か? – 秘密基地

インテルMacBook ProからM2 Maxチップを搭載した最新のMacBook Proに乗り換えてはや1ヶ月が経過した。
常時高性能かつ低発熱・低消費電力、酷使してファンが回り出しても数秒後にはもとの静かなMacBook Pro…やはり満足度の高いハードウェアだ。ところが、絶対的な性能やそれに付随して出てくるコストパフォーマンスなどについて考えだすと途端に雲行きは怪しくなりだし、延長線上にあるであろう次期Mac Proはもはやプロの映像制作業務で使われる場面はほとんどないと思われる問題点がいくつも出てきた。

無印M1 からUltraへ段階を踏んで下がっていく「性能向上率」

ご存知の方は多いと思うが、今のMacシリーズはMac Proを除いてM系チップに置き換わっている。
そのM系チップは今のところ無印にはじまりPro、Max、Ultraへとグレードが上がっていくが、そこでアップルが採用している基本的なスタンスは「倍々ゲーム」だ。

CPUやNeural Engineなどは違うものの、映像制作において重要となるGPU性能はProが無印の倍、MaxがProの倍…というような構成で、ユーザーとしてはわかりやすい差別化だといえる。

GPU性能は僕が日々利用している動画編集ソフトであるDaVinci Resolveにとって最も重要なパーツとなるので、この点については自分なりに調べてみると興味深い事実に突き当たった。

これはいつも利用しているベンチマークソフトである「Geekbench」にて、M1系のチップ全て(無印・Pro・Max・Ultra)のスコアを抽出し、各々の性能向上率を計算した結果わかったことだが、まず、無印のM1の性能が100だとするとM1 Proになることで達成する性能は203(※この数値は他のものと比べて信憑性が薄いように思える。通常だとここまでリニアかそれ以上に性能が向上することはない)、それがProからMaxになると169へと下がり、さらにMaxからUltraへは143と大幅に下がっている。

このことからわかることはとてもシンプルで、M系チップを積んだMacシリーズは安いモデルほどコストパフォーマンスが高く、MaxからUltraにかけて急激にコストパフォーマンスが低下していく。

過去に海外のレビュー動画のいくつかでM1 Ultraを搭載したMac Studioの不可解なパフォーマンス問題もこの結果を見れば納得がいく…もちろん、業務上とにかく性能を求めるというニーズがあるのは理解できるしコストパフォーマンスに関するデメリットを軽く上回るメリットを享受できる人間はいるだろう。だが、それは一部のハイエンドユーザーのみであって、アップルの宣伝文句を鵜呑みにしてしまうようなユーザーだとみすみすお金をドブに捨ててしまうようなものだ。

M1 Ultraチップが登場した頃はMaxチップを2枚繋げて利用するための技術「Ultra Fusion」には期待していたものの、実際のパフォーマンスはM1 Max比で140%と少し程度…それであればM2 Maxを積んだ新型MacBook Proとほぼ同程度だし、そのMacBook Proの性能では本格的な映像制作はまだ厳しいというのは以前書いた通りで、近い将来登場するであろう次期Mac ProがM2 Ultraを搭載してもたかが知れている…それどころか、もし噂のM2 Extremeチップを搭載することができたとして、それがM2 Ultraをふたつ組み合わせたモノであった場合にはさらなる性能向上率の低下が起こるのは間違いない(良くて同等あたりか)。

今時Mac Studioを買う金額であればWindows機なら数倍以上の動画編集性能をもつマシンを手に入れられる、これが現実だ。
アップルが自社開発チップを引っさげて新たなプラットフォームへと舵を切って約3年、出だしこそ順風満帆そのものだったが、思いの他早い段階でぶつかることになったこの壁をどう乗り越えようとするのか、その動向に注目している。

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