1月も終わり明日から2月という今になって遅まきながらのあけましておめでとうございます。今年は明確な目標を持ち、年初から業務の合間にその目標を達成するために動いていたが、それはまた別の機会にお話しさせてもうとして今回は先日公開されたリアル脱出ゲームの「封鎖された魔王城からの脱出」に関する話を少しだけさせてもらう。
「封鎖された魔王城からの脱出」内で使用した映像は全てDaVinci ResolveとFusionのみ(グラフィック部分ではAffinity Designerを活用)で制作しているので、その備忘録も兼ねている。
9つのフルHD映像を同時表示・同時編集
今回の案件が動き出したのは2020年12月下旬、都内某所のスタジオにて9人の役者さんを同時に撮影したところから始まる。カメラはハンディーカムのソニー FDR-AX60を7台に手持ちのURSA Mini 4.6KにBMPCC4Kという組み合わせでの撮影だった。
このような構成になったのは画質が求められる案件ではなかったためだが、撮影した9つのフルHDデータ、それもそのうち7つはDaVinci Resolveが苦手としているであろう圧縮素材(AVCHD)。そのデータサイズもさることながら編集時のパフォーマンスがプロジェクト当初からの不安材料だった。
まだ公開中のため内容については伏せさせてもらうが、メインとなる映像は9つの映像が1つの画面内に常時表示されているというもので、それとは別にオープニングやエンディングのアニメーションがある。編集に使用するマシンはいつもどおりMacBook Pro 2020(GPUは現状最高性能のAMD Radeon Pro 5600M)、性能的にはラップトップ型Macとしてはこれ以上ないくらいのモノではあるが、実際に素材を読み込んで画面に9つ並べた状態で編集を開始してみたところありがたいことに全く問題ないことがわかった。
もちろん、ただ9つの映像を並べただけでは編集とは言えない。最終的には個別の映像を軽くカラコレしたりTIFF画像を乗せたり、場面によってはFusionでのアニメーションを交えたものになったが、Fusion以外では終始安定したパフォーマンスを発揮してくれたことは本当に嬉しい誤算だった。
レンダリングではさすがにフルHD案件としては異常なまでの重さで、修正の度に発生するこのレンダリングにはげんなりさせられたものの、改めてMacBook Pro 16の高性能っぷりに惚れぼれさせられた。
PSDの扱いに難儀させられたアニメーション制作
上述したように順調に進んだ実写部分だったがアニメーション部にはそれなりに苦労させられた。作業フロー的にはイラストレーターから送られてきたイラストのPhotoshopデータ、つまりPSDをこちら側で処理してアニメーションさせるというもので、最初はFusionにPSDを直接読み込んで個別のレイヤー毎にコントロールしようと考えていた。
だが、実際にPSDを読み込んでみると処理が非常に重いということが判明。どれくらい重いかというと1フレーム再生させるのに数秒待たないといけないレベルでこれでは全く仕事にならない、散々軽量化のための方策を試してみたものの一向に改善できず、渋々Affinity DesignerでPSDを開き、そこからレイヤー毎にTIFF書き出しを行ってFusion上で個別に組み上げていくという手法を取った。
真面目な話、この手法は最初から選択肢として頭の片隅にはあったもののDaVinci Resolveのパフォーマンス計測の意味を含んでいた今回のプロジェクトではPSDの直接読み込みで押し通したかった。PSD読み込み時のパフォーマンスが極端に低いのは使用したDaVinci Resolveのバージョンが17でパブリックベータ版であったための現象だったのか、単にDaVinci Resolveの仕様なのかは時間を見てどこかで検証しなければいけないと考えている。一番簡単な検証方法としては動作の軽い単体版のFusion STUDIOでPSDの読み込みテストをしてみることだろうか。
とりあえず、今回の案件で一番の収穫はなんといってもメタルギアのスネーク役で有名な大塚明夫さん(魔王のCV)の高音質音源に触れる機会があったことだったかなと振り返ってみて思う。
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