12K（12,288px x 6,480px）で映像を収録できてしまうモンスターカメラ「URSA Mini Pro 12K（以下12K）」が発売から1年ほど経過した今大幅な価格改定を行った。
新しい価格はこれまでよりも50万（！）以上も安い749,980円（税込）。これまで下位モデルとして存在していたURSA Mini Pro 4.6K G2と同じ価格で、この2台は価格的には同等のグレードという扱いになった。
製造の効率化と撮像素子の供給を改善したことで実現できたらしいがさすがに50万は下げすぎじゃないだろうか…まあ、こういうクレイジーなところがBlackmagicのイイ部分ではある。
12Kに全く関心が湧かなかった僕でも少し心が動いた今回の決断によって果たしてこのカメラは売れるだろうか。
そう思ってしまうのは、リアルでもwebでも12Kに関する日本人のレビューを見かけたことがないからで、当然国内での採用実績もとても少なく、せいぜいMVでマルチカム構成もどきのコンテンツ制作に使われたのを見かけたくらいだ。
個人的には12Kが撮れるというのはメリットよりもデメリットの方が多い（Cine Dによるラボテスト結果を見る限りでは僕にとっては過去モデルの方が魅力的だし、実際の画質はピーキーでそこまでワクワクするデータでもなかった）のでこのプロダクトにはそもそも魅力を感じていないが、ここまで安くなってくるといよいよ誰でも8Kコンテンツを作ることのできる時代がきたのだと実感させられる。
今回の値下げをテコにしてより魅力的になった12Kが飛ぶように売れてくれればいいのにと思う反面、それでも売れないかもしれないと考えてしまう自分がいる。
なぜなら、ここ数年のBlackmagic製品を見ていても「使ってみたいと思える製品がない」から。
カメラに限った話にはなるもののBMCCや初代BMPCCのような破天荒ともいえる面白いカメラたちも今はなく、僕が使用しているURSA Mini 4.6Kあたりを最後に「色気のある」カメラは出ていないように思える。
これはあくまでも個人的好みの問題ではあるものの「テレビカメラ」然としたURSA Mini Proシリーズに関しては金額関係なしに購入してみたいとは思えない。そんな印象を持っているおかげで12Kが今回の値下げで製品の魅力はアップしたとしても…やっぱりあまり売れるようなイメージが沸かない。
値下げは新モデル発表の予兆？
ここ数年のカメラ関連の製品ラインアップを見ていると、Blackmagicは映画作品用というよりはテレビ製作を意識しているように思える。僕としてはREDのKOMODOくらい面白くてコンパクトでクールな製品を出して欲しいと願っているが、現状最上位モデルが12Kであることを考えるとそれも無理なのかもと思えてくる。
誤解のないように書いておくと、僕が嫌いなのはURSA mini Proシリーズのデザインであってスペックではない（といいつつ12Kのスペックに不満はある）。12Kの性能そのままによりシンプルでプリミティブなデザインに落とし込めればぜひ買ってみたいと思うことだろう。
そんなことを考えていてふと思ったが、僕が覚えている限りではBlackmagicが過去に製品の価格を大幅に改定したのはBMPCC6Kだけだったはず、そのBMPCC6Kの価格改定が行われて1年ほどしてProグレードが登場したことを思い返してみるとついつい「12Kより上位グレードのカメラが登場するかもしれない」という期待を抱いてしまう。
その時がくるのであればぜひ撮像素子を大きくし、解像度は控えめ（40MPくらい）の軽量コンパクトでシンプルな「シネマカメラ」を出して欲しい。
こういう話は日本のBlackmagicには直前まで情報が全く入らないそうで、DaVinci Resolve認定トレーナーとしてのメリットがゼロというのは少し悲しい。
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