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YouTubeのコンテンツ制作案件のおかげ(悪い意味で)で薄利多売感が定着してきた感のある映像制作。
編集費だけでいうと1コンテンツにつき1,000円あたりから請けている事業者(副業?)もあるようで、動画編集者が飽和してきたことによる業界の不健全化が気になるところ…というのは置いておいて、今回はそんな過熱した映像業界においてどうやって自分の価値を高め、最終的には制作単価を上げていけばいいのかということを考えてみる。
ただキレイ(っぽい)な映像が撮れるだけのカメラマンや言われるだけのことしか出来ない編集マンが生き残れる時代はもうとっくに終わっている。なお、話が複雑になってしまうので企画力や構成力といった要素は今回省いている…そういう意味では比較的低予算(〜50万円)の案件の獲得を狙っている人をターゲットにしている内容となる。
狙い目は「音」
今回は数を取りにいくための方法ではなく単価を上げていくための方法を探っていくという前提のもと、映像制作者として最も理想的であろうと思える「営業しなくても自然と案件が集まってくる」状況を作り出そうということで、そのための「差別化」を考えてみる。
機材からはじまってその撮影手法などで差別化するのもいいかもしれないし、超高速な編集技術や映像にアクセントを付けるのに一役買ってくれるFusionやカラー、分かってくれる人は分かってくれる音関連のスキルなど、他者(社)と差別化するための方法・スキルはいくつもある。
これらの中で個人的に考える狙い目のスキルは「音」に関わる部分。映像制作において最終工程で発生する整音作業(MA)や、付加価値としての楽曲制作といったスキルは業務レベルで考えると営業に組み込みやすいしクライアントを説得しやすい、結果として単価を引き上げるための武器になる可能性が高いと考えている。
もっといえば「カラー」もそうだが、このスキルが求められる案件は基本それなりに予算のある案件に限られるだろうから業務では売り込みづらいかもしれない(状況によっては安価ながらも組み込めるかも…ちなみに僕は組み込んでいる)。
挙げた項目の中で1番取り組みやすいのは撮影機材だが、ここらへんは単純に機材の価格ではなくその見た目であったりクライアントが得られる利便性を意識・強調したチョイスが必要といったところか。
今後やってくるであろう「AI」との付き合い方
去年くらいから話題になり始めた感のあるキーワードの「AI」。これが今色々な業界で波紋を呼んでいるらしい。
最初にそれらを知ったきっかけは確か2,3年前にNvidiaが自社の製品(GPU)を利用してイラストを自動生成、というか人間が描いたラフを詳細なイラストに描きおこすというような実験を紹介した記事だったと思うが、最近だとテキストから生成できるようで、さらには画像生成AIであるStable DiffusionをPhotoshop用のプラグインとしてリリースされるという話題がSNSでちょっとした話題になっている。
気になったのでチェックしてみたがデモ映像を見てビックリ、入力されたテキストを元にAIがスピーディーに写真を加工していく様子(どうやらPhotoshopの機能を使って加工しているっぽい)を見ていると、イラストだけでなく写真の分野にも大きな衝撃を与えていくであろうことは想像に難くない。
Photoshopプラグインはちょっと違う気がするが、この手の仕組みは「生成系AI」というものらしい、すでにイラストや写真だけでなく映像制作の方にも進出、今後の流れはわからないもののその進化・変化のスピードは相当なものであろうことを考えるとモノづくりに対する価値観(ひょっとするとそれ以外の価値も)を考え直さないといけない時期はそう遠くないように思える。
僕としては業務に対する負の影響は多少あると思ってはいるものの、クライアントの細かな要望に応えるだけのコントロールが利かない(と「現段階では」思える)生成コンテンツはまだまだ業務レベルでは普及しないだろうと踏んでいる。
それに、手間と時間をかけて行うモノづくりという面倒・泥臭い行為自体を楽しんでいる僕にとっては自分が何をするか、何を作るのかというのが大事であってその工程においてAIを使う場面はほとんどなさそう…とはいっても、仕事半分、興味半分で試してみたらそれはそれで結構楽しめてしまうのかもしれない。
この生成系AIまで考え出すと動画編集はもちろん、カラーグレーディングやFusion、そして撮影スキルまでもがAIで大部分をまかなえちゃうんじゃないか…ただでさえ自分のスキルツリーをどうしたいか迷っている人も多いだろうに、とんでもないものが現れたもんだなあ。
グラフィック制作・PVやYouTube用の映像制作をやりつつ、YouTubeでのチャンネル運営サポートやコンサルティング、勉強会といったことを扱ってます。
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