”DaVinci

iPadOS版DaVinci Resolveの登場を冷ややかな目線で語る

新型iPad Pro発売に関する記事で少し触れた「DaVinci Resolve for iPad」、つまりiPadで動作するDaVinci Resolveについて少しだけ意見を述べさせてもらう。

DaVinci Resolveユーザーの中には近日中にiPadOS版DaVinci Resolveが登場するかもしれないということに喜びの声を上げているのを見かけるが、僕個人の感想としては何もない…何の感慨も沸いてこないというのが正直なところだ。

認定トレーナーもビックリ、突然現れた新DaVinci Resolve

このiPad版DaVinci Resolveの存在が判明したのは新型iPad Proの紹介ページ。
最近のAppleは同じ手法でリリース前のアプリのスニークピーク的な演出をしているが、これによってマーケティング的により良い効果が見込めるということなのだろう。

新型iPad Proの紹介ページにて。商品写真の下には「DaVinci Resolve for iPad」の文字が。
新型iPad Proの紹介ページにて。商品写真の下には「DaVinci Resolve for iPad」の文字が。

1年ほど前、旧iPad Pro発売に際して岡野さんに対してiPad用のDaVinci Resolveをリリースする予定があるんじゃないかと質問をしたことがあるが、その時の岡野さんが話されていたのはiPadOSとmacOSは根底から違うモノのため、性能が上がったからといって容易に移植できるものではないといったものだったが…ホントに出ちゃったよ。
iPad版DRの存在についてはその突拍子のなさもあってか早速DaVinci Resolve認定トレーナー限定のslackコミュニティーでも書き込みがあったものの、岡野さん含めスタッフは無反応、他の認定トレーナーもほぼ無反応と僕と同じかそれ以上にドライな反応で少し悲しくなってしまった。

機能に関してはまだほとんど判明している部分はないが、画面から分かるのはカットページとカラーページしか利用できない(せめてエディットページにして欲しい…)ということのみ。たぶんBlackmagic Cloudとの連携機能を実装していればデスクトップ版とのプロジェクトのやり取りはスムーズに行えるものと予想する。

所詮iPadはMacのコンパニオンデバイス。現段階では評価対象外

冒頭で僕がiPad版DaVinci Resolveに対してドライなことを書いたのは、DaVinci Resolveがどうこうということではなく、原因はiPadそのものにある。

僕はもう10年以上もiPadを利用している筋金入りのiPader(アイパッダー。自称)だが、このiPadというデバイスがいつまでたっても1人立ちすることのできない、Macありきのコンパニオンデバイスであることについて良い感情を抱いていない人間だ。

iPadのディスプレイをMacのセカンドディスプレイ的に扱えるSidecarが分かりやすい例だが、起点は常にMac側にあり、iPadはMacからの指示を受けないと自分からこのモードに入ることができない。一事が万事そんな調子でiPadのみで完結する作業は多くなく、ほとんどのフローにおいて結局はMacを介さないとならないといけないのが今のiPad Proなのだ。
そのiPad Proがどれほど高性能化しようとも、この「Macありき」のデバイスである限りその魅力を十分にユーザーに伝えることはできないんじゃないかと考えている。

余談だが、MacとiPad ProでAffinity Designerなどのクリエイティブツールの編集用データを共有できないのもとても腹立たしい。
今の仕様ではiCloud経由なりで同じデータを共有しようとしても、iPad側では「別個のデータとして」自身のストレージに溜め込んでしまうため、実質的にオリジナルデータが2つ存在することになってしまう。これは本当にリソースの無駄だし今すぐ改善して欲しい点だ。

そんなことがあり、たとえiPad ProでDaVinci Resolveが動作するようになったとしても、そのフローにおいて結局はどこかの段階でMacなりPCなりを経由しないといけないのであれば最初からMacBook Proなどのモバイルマシンでいいじゃないかとなってしまうのがテンションが上がらない理由ということになる。
ちなみに、それはAffinity DesignerやAffinity Photoも同じじゃないかという意見もあるだろうが、そこはApple Pencilを利用したブラシ機能などの便利機能が使えるため「iPadを経由する意味がある」。

まあ、選択肢が増えるのはイイコトだし、実際に使ってみたらそれなりに楽しめるだろうからまあ、いいかな。

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