バージョンが上がるたびどころか小さなアップデートを施されるたびに高速化しているといっても過言ではないFusion。
数カ月前、Blackmagicが開催したイベント「Monthly SAMPLER」では、その開発チームの責任者が今後当面はFusionのパフォーマンスを改善させるためのアップデートに注力していくという発言も飛び出し、そのパフォーマンスにますます磨きがかかっていくことが期待される。
今回はそんなFusionのGPU処理に関するTips。
一般的にはCPUより遥かに高性能なパーツである「GPU(=ビデオカード)」。このGPUで処理されるエフェクトやツールなどといった各種ノードをもし視覚的に確認しながら作業を進めることができるのであればかなりの時短を期待できるし、何かトラブルに見舞われた際にも解決の糸口を見つけやすくなるので、Fusionを使う上での基礎知識として読み進めて欲しい。
どんどん高速化していくFusion
さて、本題に入る前に少し横道に逸れた話を。
最初にアップデートされるたびにFusionが高速化されているという話を書いたが、実はこれに大きく寄与しているのがGPU処理だ。
複雑なコンポジット作業を行うためのソフトというのは基本的に「とても重いソフト」に分類されるが、それはほとんどの処理をCPUで行っているからといった場合が多々ある(アドビ製品のようにレガシーなコードをずっと引きずったままのソフトは論外で、そのCPU性能すら引き出せるか怪しい)。
そんな重い処理をGPUに投げることができれば多くのシーンでより高速な処理を期待できるが、Fusionはかなりの勢いでこの移行作業を進めているように見える。
バージョンアップで数倍速くなるということもあるし、今回のバージョンである17の時などはそういった内容の発表はなく、製品紹介ページにもそれらしい記載はないものの、個人的に計測してみたところ2,3倍速くなっている処理があったのでBlackmagicの岡野さんに確認してみたところ「大々的に言っていないだけでFusionの処理フローに関してもかなり変更を加えている」とのこと。
そういう意味でFusionのアップデートはほぼ間違いなく全てのユーザーにはメリットしかない。毎回新バージョンが出るのをとても楽しみにしている。
GPU処理されるのか、されないのかの確認方法
劇的進化真っ最中なフュージョン、今ではかなりのノードがGPUで処理されるようになってきているが、まだGPU処理に対応せずCPUでしか処理できないノードもある。たとえば対象のオブジェクトを複製する「Duplicate」ノードなどは利用頻度がそれなりに高いのにGPU処理に対応していないせいで(昔よりは高速化されてはいるが)それなりに重い。
この「GPU処理されている・されていない問題」を解決する方法は簡単。調べたいノードを選択して、画面右上に表示されるインスペクタ画面から「Setting」タブをクリック。そこで表示される項目の中に「Use GPU」という項目があればGPU処理に対応したノードということになる。
試しに「ImagePlane3D」ノードを選択してインスペクタをチェックするとこの項目が見当たらない…ということは、ImagePlane3DはGPU処理には対応しておらずCPUで処理するノードだと分かる。
それでは次に、そのすぐ横にある「Polygon」ノードを選択して同じようにインスペクタを確認してみる。
するとそこにはちゃんと「Use GPU」の表記があるのが分かる。つまりこのノードはGPUを使って高速に処理することができるので重くなりづらいということになる。
この知識は数え切れないほどの数のノードを使って作業していくFusionにおいてとても重要だ。
CPU処理のノードだけを使ってしまえばすぐに動かなくなってしまうし、何かトラブルがあった場合などは安定しているCPU処理を利用してみてトラブル解決を図るなどといったクレバーな立ち回り方ができるようになるので、普段から自分のよく利用するノードなどはチェックしてみるクセをつけるといいかもしれない。
Fusionの基本から応用テクニックまでを網羅した動画教材「Fusion基本マスターコース」の中ではその他にも様々なテクニックについてのレクチャーを収録しているので、もしよかったらそちらもチェックしてもらえればと思う。
『Fusion基本マスターコース』紹介ページ
https://kyokuti-creator-school.teachable.com/p/davinciresolve_fusion_bmc
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