「動画編集」というキーワードが趣味やYouTubeだけでなく副業としても紹介されだしてからそれなりに時間が経過したが、今回はその副業として映像制作に携わり出した人に対して単価を上げるヒントになるかもと思えることの話をさせてもらう。
正確には単価を上げるというよりは「他者との差別化」という方が正しいのかもしれないが、今回お話させてもらうスキルを身に付けられずとも常に意識できるようになれば自ずと自身の作品に活きてくるハズだ。
「誰にでも覚えられるようなスキルは要らない」という考え方
普段対面であったりオンラインであったりと色々な場面で人に動画編集について教えいるものの、そういった人たちの作りたいと考える作品の傾向をみていくと、DaVinci ResolveでいうところのFusionページはもちろん、カラーページすら必要としないものがとても多い。
要はエディットページのみで完結する作品を志向しているように思えるということだが、こういう人たちは経験を積んでいけば欲が出ていつかはカラーページやFusionページにも進出していくのだろうか…SNSを見渡してみてもどうやら同じような人たちが大勢いるようでカラーやFusionに興味を示している人は常にごくわずかだ。
別にエディットページをけなすワケではないが、カラーページとFusionページに比べれば大人と子供、特にFusionと比べた日には天と地ほども難易度が違うのにそれらを覚えようとする人が少ないということは、逆に考えればそこを覚えることができれば単価を上げるチャンスが増えるということだ。
誰でも覚えられて参入できるレンジの案件は単価は安くなりがちだが、参入しづらいレンジであれば供給側はそう多くはないため自分を売り込みやすいのは間違いない。
今後さらに参入のハードルが下がっていくことが容易に想像できる「動画編集者」ではなく、映像作品を生み出していく「映像制作者」を目指すべき、少なくとも目標として据えておくとスキルを磨いていく上での良いゴール設定となると思っている。
意外なほど低くみられがちな「色」
そもそも撮影した映像の「色味を調整する」という、制作業をしているものにとってはできて当然と思われがちな作業だが、少なくとも僕の周りのフリーランスでこのスキル、すなわち「カラコレ」や「カラグレ」に対する認識は驚くほど低く、クライアントからの細かい要望に応えるだけのスキルを持ち合わせている制作者はとても少ないと感じる。
ここでいうカラコレやカラグレは、ただ単にLUTを当てて全体の色味を「なんとなくそれっぽく」したもののことをいうのではなく、「肌の色味はそのままに」や「ハイライト部はそのままで」といったように、特定の部位とその他の部位を分離させて個別にコントロールする、そういったきちんとした映像制作スキルのことだ。
ちなみに、僕はどんな案件に対しても必ず撮影した映像には少なからずカラコレ作業を行っている。
理由としては…これは仕事で映像制作をしている者としては胸を張れない部分だが「単純に楽しい」からだ。グラフィックデザイナーとして様々な写真を補正・加工をしてきたが、この写真というのは巷に出回っているもので補正・加工されていないものは存在しないというほど「調整するのが当り前」のもの、僕のクセはこの名残なのかもしれない。そういうこともあって、映像制作を学んでいくにつれ、他の映像制作者の色に対する鈍感さには本当に驚かされてきた。
最後に、クオリティーの重要性を知ってもらうために一例を挙げる。案件の規模としてはモーショングラフィックバリバリの派手なコンテンツではなくHowTo動画的な、予算も低めのシンプルなコンテンツ制作の場合。
僕のクライアントでかれこれ5年ほどのつき合いになろうかという企業があるが、ありがたいことに何度もリピートをいただいている。
その度に担当者の方が言われるのが「内製化チームはあるけど大嶺さんの作るものと比べるとどうしても野暮ったい」という言葉。
そうやって何度か案件をいただいているうちに、この担当者さんが他の部署の方に僕を紹介してくれるようになり、そこからも案件が発生するようになりと、もうこんなにありがたいことはない。
さらに、そうして相手と何度も接する機会が増えると意思疎通のスピードが上がるだけでなくその正確性も向上し、よりクリエイティブなことに時間を使ってさらにクオリティーに反映させる…結果として満足感・信頼感の向上といった良いサイクルが生まれている気がする。
これは今回のテーマであるカラコレのおかげではない、といいたいところだが、きちんとした企業が対外的なコンテンツをリリースするとなると当然色に関してシビアになってくるわけで要求されるレベルはそれなりに高いが、色の部分(映像の品質)に関してとても高い評価をいただいているというのがクライアントの内製化チームとの差別化の要因のひとつ(※あとふたつくらいあって、そのうちのひとつがFusion)になっているというわけだ。
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