新型iPad Pro 12.9インチモデルを2ヶ月使ってみて | レビュー

5月の後半に発売が開始された新型iPad Pro、それもXDRディスプレイを搭載した12.9インチモデルを購入、手元に届いてはや2ヶ月が過ぎようとしているが、現在感じている感触やその使用感に関して改めてレビューをしていく。
普段使いから業務、映像の視聴にゲームなどといった様々なシーンでこのiPad Proはどのようなパフォーマンスを見せてくれているのかということをお伝えしていく。

購入当初に公開したレビュー動画。ありのままに話したら視聴者からの大不評を買ってしまった問題作。

M1チップ搭載で性能「は」Mac級に

まずは使い始めてからというもの一度も不満を抱いたことがない「処理性能」。
特定のゲームやGoogle Mapsを使っていると何の変哲もない単純な描画処理の時にカクツク場面はあるものの、その傾向を観察しているとハードウェア側ではなくアプリ側の問題であるように思えるので除外するとしてとにかく果てしなく速い。

Appleの公式サイトから。本当に「ぶっ飛んでいる」。
Appleの公式サイトから。本当に「ぶっ飛んでいる」。

これまで使用していたiPad Pro 10.5インチモデルも高速だったがメモリ容量の制限によるアプリのリブートがそれなりの頻度で発生し、Appスイッチャーから数日前に起動していた別のアプリを選択、といった行動を取る時にはまたアプリの再起動を待たなければいけなかったが新型では本当にそういった場面に遭遇することがない。

ないと書くと少し大袈裟だが「ほぼない」。大量のメモリを消費するはずのゲームをしていて、それを一週間程度放置して他の作業にiPad Proを使っていてもAppスイッチャーで再度選択すれば何事もなかったように続きをプレイすることができる。

僕が購入したモデルはメモリが16GBあるモデルなので8GB搭載モデルだとまた変わってくるかもしれないが、新型iPad Proは単なる処理速度だけでは測れない「快適性」が至るところに散りばめられている。

Appスイッチャーを利用しているところ。余程のことがない限りどれを選んでもアプリがリブートするようなことはない。
Appスイッチャーを利用しているところ。余程のことがない限りどれを選んでもアプリがリブートするようなことはない。

ただ、そういった快適性の代償としてバッテリーの持続時間はこれまでのモデルよりも短くなっている。
ほとんど誤差の範囲だとは思うが、満充電の状態から99%になるまでが過去に使っていたモデルよりも早いし、それ以降の減りもやはり早い(と、体感的に感じる)。
実際に計測はしていないため勘違いという可能性もあるが、ただのwebブラウジングやkindleでの読書をしているだけで気がつけばバッテリーをモリモリと消費していることに気付いて驚くといったことは過去のモデルではほとんど体験したことがない。ついでにいえばiPad Proを使わずに放置しているだけでもなぜかそれなりにバッテリーが減っている…iPadOSの問題かもしれないが、この部分に関しては注意して見ていく必要がある。
逆に発熱に関してはかなり良好な印象を受ける。iPhoneやiPadをホッカイロにすることで有名な「The Pathless」を長時間プレイしてもそこまで熱を持たないし、当然プレイに支障を来すようなこともない。

「The Patshless」のプレイ画面。名作といっても差し支えない素晴らしい作品だが端末にかかる負荷が高いことでも有名。
「The Patshless」のプレイ画面。名作といっても差し支えない素晴らしい作品だが端末にかかる負荷が高いことでも有名。

バッテリー関連でいうとMagic Keyboardを接続するとよりその傾向は強くなるため、最近は使わない時は本体から取り外して運用するようにしている。
このキーボード、以前動画の中でも述べたがやはりその使い勝手はよろしくない。

普段使いする時、webブラウジングであったり読書であったりする時がそうだが、そういった場面ではトラックパッドの使い勝手や打ちやすいキーのおかげでMacに近い快適な使い勝手を実現してくれるが、Affinity Designerや Affinity Photo、Procreateなどといったクリエイティブアプリを使ったモノづくりを開始しようとなるとキーボードを本体から取り外さないといけないが、そうしてしまうと「iPad Pro本体」のみの素の状態になってしまう。
人にもよると思うが、僕はこの素の状態のiPad Proのデザインと使い勝手が気に入らない。
グリップの利かないのっぺりとした筐体、どこが上でどこが下なのか分からないディスプレイ面など、カバーやケースに収めておけば出てこない不満が一気に爆発することになる。長時間作業することが多くなるモノづくりにおいてこういった使い勝手の低下は満足度の大きな低下を招く。アップルとしてはMagic Keyboardの他に軽量でグリップ力を向上させるカバーを別に買って運用しろとでも言いたいのだろうか、多分そんな馬鹿らしいことは考えていないだろうが、Magic Keyboardは見た目のギミックを追い求めるのではなく、取り外すことなく背面に回り込むデザインにするなどといった、ユーザーが実利を得るためのデザインにすべきだ。

問題の多い「Magic Keyboard」。よくよく考えてみるとiPad Proに対しての不満点の大部分はこのキーボードを起点としているかもしれない。
問題の多い「Magic Keyboard」。よくよく考えてみるとiPad Proに対しての不満点の大部分はこのキーボードを起点としているかもしれない。

さらにひとつ付け加えておくと、素の状態で運用している時に本体を何気なく持ち上げたりすると本体が「ミシッ」と軋むことがある。
怖くて試すことはできないが、このデザインになったばかりの頃に大きな話題になった「ベンド問題」をよく知っている身としては自分のiPad Proが軋むたびにイヤな気分になる。このデザインになって3世代目になっているのでさすがに過去の強度問題はクリアしているとは思うものの、iPad Proを素の状態で使うのははっきり言っておすすめしない。

キョクチに投稿している記事の多くはこの記事も含めてiPad ProとMagic Keyboardの組み合わせで書いている。
使用するアプリは「Ulysses」。こういった作業の際には何の不満もない体験が得られるが、いざモノづくりをしようとした途端に不満が噴出する…これが現状僕が解決できない問題であり大きく不満を持っているところだ。

アップルがiPad Proを「Mac」にせず、そのコンパニオンデバイスとしての立ち位置を確立したいと考えるのは多分それほど間違ってはいない。つい最近iPadでWindowsが動くというニュースがあったが、M1チップを積んだ実質「Mac」な新型iPad ProでmacOSを動かしたいというニーズはあってもそれを実現させない理由の大半は「収益性を上げるため」だろう。だが、そのためにiPad ProはOSとアプリ両方の制約によりその性能を発揮できないように制限されている。

iPadでBlenderやDaVinci Resolve、Affinityスイート(もちろんデスクトップ版)、それ以外の様々なプロ用ソフトが使えればどれほど作業が捗るか。
すぐに思い浮かぶメリットは「タブレットMac」だ。Affinity Designerのピクセルペルソナでイラストを描き、それをデザイナーペルソナで清書する。そこに写真を配置しているのであればすぐさまAffinity Photoと連携させてレタッチを行う…こういった一連の流れはこれまでMac単体では無理だったし、iPad単体でもできなかった。それがiPadでmacOSを使えるようにするだけで解決するのにそれをやろうとしないアップルの姿勢・やり方にはiPad Proが素晴らしいデバイスになればなるほど腹たがつ。

HDRコンテンツの視聴体験は特上級

YouTubeでのレビューでは酷評したディスプレイだが、12.9インチモデルのみのメリットとなる「HDR」に関しては使えば使うほどに満足度が高い。

もちろん、ミニLEDにまつわる暗闇での表示に対しては不満はあるものの、このHDRコンテンツを正確に表示できるというメリットは多分実際に体験してみないと、それこそ通常のモニターを横に並べて比較するなどしないとその魅力を十分に伝えることは難しいかもしれない。

とにかく映像が鮮烈で引き込まれる。コンテンツの価値は映像美だけではないが同じコンテンツであればHDRとSDRの両方の表示を並べるとその差は一目瞭然。このiPad Proの表示に慣れてしまうとSDRコンテンツを観た瞬間に少し物足りなさを感じるようになってしまうだろう。

まだまだHDRコンテンツは少ないが、せっかくiPad Proを購入したのだからということでNetflixの契約プランを最上位の「プレミアムプラン」に変更してみた。
このプランであれば4KコンテンツだけでなくHDRコンテンツの視聴が可能。プランを変更するとHDRコンテンツに限りその紹介ページに「ドルビービジョン」のアイコンが表示されるようになる。

早速これまでも観ていたネイチャー番組「OUR PLANET」を視聴してみると全く別の世界が広がる。
河の水面でゆらゆらと煌めく光や、水浴びをしているワニの皮膚のリアルなテクスチャなどはこれまでのどのモニターでも表現できなかったものだ。
人によってはこのためだけにiPad Proの12.9インチモデルを選んだという人がいるかもしれないが、そうだとしても全く不思議ではない。本当に素晴らしい。

iPad ProのNetflixアプリで「OUR PLANET」を表示したところ。HDR表示が可能なコンテンツだと特殊なアイコンが表示される。
iPad ProのNetflixアプリで「OUR PLANET」を表示したところ。HDR表示が可能なコンテンツだと特殊なアイコンが表示される。

まとめ

長々と書いてきたが、僕が新型iPad Proを購入して得られた体験や満足感はとても高い。ただし、その満足度は過去何台ものiPadを購入してきた中でのそれと比べると最も低いものだ。

(ディスプレイ含めて)性能は突き抜けて高いものの、それ以外の要素、つまり本体デザインや周辺機器を含めた価格設定やその機能性、OSの制約などが良い部分を大きく相殺してしまっているのが今のiPad Proだという認識でいる。

9月のOSアップデートで評価は多少変わってくるだろうがMagic Keyboardの快適性と不愉快さを両方兼ね備えた特徴は後継製品に期待するしかない。

Good Points

  • 有り余るパワー。M1チップ搭載は現在ではなく未来を見据えている
  • 大容量メモリ搭載によるメリット。アプリケーションのリブートがほぼゼロ。
  • HDRコンテンツ視聴時のハイレベルな映像体験

Bad Points

  • バッテリのーの保ちの悪さ
  • 筐体の強度不足
  • Magic Keyboardの使い勝手の悪さ
  • 性能を活かせるアプリの不在

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