先日、KCSの運営を手伝ってもらっている友人と打ち合わせの席でのこと。
その人物はIT系企業の経営者だが、彼の持つネットワークはとてつもなく広く、日夜関係なく日本を代表するような大企業相手に案件を獲得している凄腕。そんな彼には連日色々な企業からの相談や悩み事が持ち込まれるらしいのだが、その話題の中に気になるものがあった。
国や自治体からお金が出るから映像制作を外注したのに…
その話題とは「映像制作にまつわる補助金や助成金絡みのトラブル」。
新型コロナの影響で多くの業種が多大なダメージを負ってしまったことで去年からいくつかの補助金・助成金制度が生まれた。
その中に企業が映像を事業に活用する際に利用できるものがいくつも含まれていて、この補助金・助成金案件を狙った一部の事業者や個人がいるというものだった。
大まかな流れはこうだ。
まず、映像系のオンラインサロンで入会者限定で利用できる「実績ストック」で初心者同然の入会者が案件を獲得(その手の人間はどうやらオンラインサロンで営業のコツを習っているため「営業だけは上手」とのこと。これが後に説明する被害を増大させることになる)。
その案件を進めていく中ででき上がってくる作品の質の低さに疑問を抱いたクライアントが修正指示を出すと「それはできない」「それをやるなら費用の上乗せを」と渋り出しトラブルに発展するケースがひとつ。
さらに悪質なのは制作費だけをもらって連絡不能になってしまうケース。契約上どの段階で制作会社に費用が支払われているかにもよるだろうが、どうやら早い段階で制作費の全額、もしくは一部を受け取った制作会社が逃げてしまうということらしい。
この手の補助金制度には実績報告という、要は「もらったお金でこういうものを作りましたよ」という事後報告を国なり自治体にしなければならないが、今回のトラブルの恐いところでもあるのは基本的にその報告に関して承認の結果が出るのも遅ければ承認されないなんていう場合もあるということ。
そして、制作会社がお金をもらって逃げてしまったとなっては肝心の制作物はできているはずもない…そんな場合、当初もらえると考えていた補助金は出ず、制作会社に払っていた多額の制作費は全て自腹になってしまうといった「最悪の事例」が最近どんどんと増えてきているらしく、業界としてはこれまで以上にwebや動画といった制作物に関する業務の委託先に対してシビアな目を向けているという。
自身が「きちんとした」クリエイターであるかをどう証明できるかが今後のカギ
最後になるが、今回の話は僕が全く得意としない領域の話題であること、口頭で聞いたものを記事として起こしているため記憶があいまいな部分もあるなどといった不備があるが、総じていえるのは依頼側は迂闊に補助金や助成金事業を利用して動画戦略を進めていこうとしたら目の前は罠だらけということだ。
誰でも実行できる予防策としては、相手の制作実績に載っている案件の企業に直接確認を取るか(実は今回話をしてくれた友人の話だと、たとえばA社の動画を作ったと言い張る人間のことをそのA社に確認したらまったくのデタラメだったという事例もあるらしい)、担当したパート(例えば「カット編集」「(OPなどの)アニメーションの作成」「グラフィックスの作成」「カラーコレクション」など)の確認。書いてあれば具体的にどういう作業をしたのか、書いていなければどこを担当したのかを入念に確認するなんていうのがオススメ。よろしくない方法で案件を獲得しようとしている「なんちゃってクリエイター」ならその段階でボロが出る。
ちなみに、僕だったらその制作実績のプロジェクトデータを開いている様子をzoomなりで画面共有させてもらって確認する。要所要所で処理に関する質問をして相手の力量を確認するというイヤ〜な確認方法も追加で採ります。
その友人が話の締めくくりとしていたのは、今の時代誰でも「なんちゃってクリエイター」として人や企業を騙して案件を獲得できるようになっているから、信頼してもらうための施策はより重要になっていくだろうとのこと。
それは例えば制作実績の見せ方なのかもしれないし、取引先との関係性を可視化することなのかもしれない。
グラフィック制作・PVやYouTube用の映像制作をやりつつ、YouTubeでのチャンネル運営サポートやコンサルティング、勉強会といったことを扱ってます。
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