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どれくらい最高? Blackmagic Design Pocket Cinema 4K(BMPCC 4K)ハンズオンレビュー

2018年9月にBlackmagic Designから発売された話題のコンパクトシネマカメラ「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K(BMPCC 4K)」は15万円という価格の中にこれまでなかった、というよりも「あり得なかった」価値(後述)を詰め込んで登場したという衝撃によって世界中からオーダーが殺到、結果として積み上がったバックオーダーのおかげで発売から4ヶ月が経過しようという今でも製品を手にできないユーザーは多いハズだ(僕の知人もそのひとり)。

僕はというと幸運なことに去年の暮れに届き、今年初めからかれこれ1ヶ月と少し使用することができている。もう今更かと思う方もいるかもしれないが今回はそんなBMPCC 4Kのハンズオンレビューを製作することができたのでご紹介させていただく。

外観・主要スペック

外観に関しては多分BMPCC 4Kが発表された当時のポッドキャストで話していたかとは思うが好きではない。先代のBMPCCのデザインが気に入っていたというのもあるがサイズの巨大化や魚類のエラを想起させるような吸排気口があることにより見た目がいかつくなってしまったというのがその主な理由だ。

先代の可愛らしいルックスがあったからこその「Pocket」だと思うのだが・・・。

BMPCC 4K正面上部。エラのような吸気口があるのが分かる。

ただし、BMPCC 4Kのデザインが好きではなくても嫌いではない。むしろ全く許容範囲内に収まっている。一般的なデジタル一眼レフタイプと似たルックスは多くのユーザーから受け入れられるものではないだろうか。

BMPCC 4Kのカメラの主なスペックは以下の通り。

・有効センサーサイズは18.96x10mm(4/3)

・撮影解像度は最大4096x2160px (DCI 4K)

・13stopのダイナミックレンジ

・ISO感度は100〜25,600。デュアルゲインISOをサポートし高感度撮影に対応

・5inchの大型タッチスクリーン

・ProRes/RAW収録に対応。メディアはSDカード・CFastカード

・USB-C接続による外部ストレージへの収録が可能

・フルサイズHDMI

・Bluetoothを搭載。iPad用のアプリから遠隔操作が可能

画質。ProRes・CinemaDNG RAWについて

次に画質について触れていく。
結論を先に書いてしまうと僕はこのBMPCC 4Kというカメラの画質にこれ以上ないほど満足している。今回使用したオリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROというレンズ性能の良さがあったとしてもそれを差し引いて余りあるほどBMPCC 4Kから生まれる映像には圧縮素材にはほとんど見られないような、URSA Mini 4.6Kにも共通する一種独特のデータ量の厚みのようなものを感じる。

作例の一部。グレーディング済だがBMPCC 4Kのダイナミックレンジの広さがよく分かるショットとなっている。

紹介動画の中でデュアルネイティブISOの効果をチェックすべく様々な感度で撮影をしている場面があるが、そこでの結果を見る限り後処理を考慮すれば業務でもISO12800あたりまで利用できるかもしれないと感じた。

ISO感度に関してのテスト左から右側にかけて段階的に感度を上げている。

それから、直接的な画質とは少し違う意味になってしまうが、ProRes形式で収録せず後の処理を考慮してCinemaDNG RAW形式で収録した時のデータをDaVinci Resolve Studioを利用してカラーコレクション・グレーディングをする時の面白さは写真撮影をRAW形式でされたことのある方であればなんとなくお分かりいただけるかもしれないが、12bitという広大な空間の中で自分の想い描く映像を作り込む、あの「世界を作る」行為と同等のことを映像でできてしまう。

余談だが、今回初登場したガネさんが最初にDaVinci Resolve上で動くグレーディング済みの映像を観た際「写真が動いている」と大声を出して驚いていたことを付け加えておく。

BMPCC 4Kの最大の功績、それは大手メーカーへの挑戦状にある

BMPCC 4Kの持つスペックについて述べてきたがこのカメラはそれだけではない。付属している編集用アプリ「DaVinci Resolve Studio」もまた他に類をみないほど強力なツールとなっている。

このアプリについての説明は今回の主題から外れてしまうため省略させてもらうが、要は単純なカット編集から色に関する調整、モーショングラフィックや3DCGとのコンポジット(合成)、MAまでの一連の処理をひとつのアプリで完結させてしまうことのできる唯一無二、今最も「アツい」動画編集アプリだ。
このハリウッドの映画制作にも日常的に使われるようなツールが付属することにより、BMPCC 4Kを1台購入するだけで撮影から編集・配信までの工程を全て賄えてしまえることになる。

DaVinci Resolve Studioでの編集画面。BMPCC 4Kを購入すれば本来33,980円(税別)するこのツールが付属してくる。

欠点に関しては紹介動画の中で述べているのでそれを観ていただければいいと思うが、BMPCC 4Kの性能・可能性を考えればそのどれもが些細なことに思える。

周りを見渡せば、同企業内での軋轢により未だにProRes収録すらできないどころか4K収録すらロクにできないメーカーもあれば、10bit収録できることが話題になってしまう現況にあって、圧縮素材でない12bitのデータが収録できるカメラが15万円という価格帯に登場したことを各カメラメーカーはどう考えているのかを聴ける場があればありがたい。

金銭に関する価値観は多様であるため絶対とは言えないが、個人的にはたかだか15万円程度のカメラが備える性能とはとても信じられないほどBMPCC 4Kのスペックとパッケージングは他の大手カメラメーカーのそれを遥かに上回っている。
これから映像制作を始めてみたいと思われている方、少ない予算、限られた機材の中で映像制作をしているプロ・アマチュアの方々は幸せである。

BMPCC 4Kというカメラが存在しているから。

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