アドビのFrame.io買収でサービスはどう変化するのかを考える

つい先日のこと、アドビがFrame.ioを買収したというニュースが舞い込んできた。

Frame.ioは知る人ぞ知る動画コンテンツ制作に関するレビュー・コラボレーションサービスで、これを利用することによりクライアントとの意思疎通がスムーズになる、チームでの作業を効率化、さらには映像制作における様々なアセットを管理できるなどといった多数のメリットをユーザーに提供、もちろん僕も普段の業務でこのサービスを愛用している。
無料で利用できるプランもあるので利用したことがないという方は是非一度体験してみてほしい。

これまでいくつもの企業を買収してきたアドビではあるものの、まさかFrame.ioを買収するとは思っていなかったのでそれなりにショックを受けた。というのも、このサービスは多くの動画編集ソフトと密に連携できるように設計されている上にかなり普及しているのでアドビが買収しても相乗効果はあまり狙えないと考えていたからだ。

現時点でも圧倒的な利便性。気になるのは今後の進化の方向性

だが、買収したということは今後の進化の方向性としてPremiere ProやAfter Effects、さらにはAcrobatやPhotoshop、Illustratorなどとの親和性を高めていくに違いない。現時点ですでにほぼ完成の域に達しているとも見えるFrame.ioをどうしていく気なのだろうか。
ちなみに、僕にとってのFrame.ioを利用するメリットは以下のとおり。他にも便利な機能はあるものの、その全てを利用しているわけではない(理由は後述)。

  • 高速なアップロード(Googleドライブとは比較にならないほど速い)
  • DaVinci Resolveにはすでに統合済み。これにより直接アップロードの他、ほぼリアルタイムでのビデオレビューが可能
  • クライアントは動画を1フレーム単位で再生・確認可能。さらに厳密に時間を指定した上でテキストやフリーハンドで指示出し可能、一般的な動画編集ソフトで使われるいくつかのショートカットも利用可能
  • バージョン毎に管理可能。新旧バージョンの映像を左右に並べて同時に再生することも可能
  • 動画にパスワードを設定することが可能

この中でもリアルタイムでのレビューはある程度のITリテラシーを必要とされるが、それさえクリアすれば圧倒的な時間的コストを削減することが可能。普段やり取りしているクライアントからも修正指示を出す際のやり取りがとても明快・迅速だと好評を得ている。

目立ったニュースを聞くことはなかったが、実はアドビは自身のCreative Cloudファミリーの一員である「Adobe Prelude」の提供を終了することを予告している。
このツールのことをよく知らないという方は多いと思うが、素材のトランスコードやインジェスト(収録メディアから編集用ストレージにデータを移動する作業)をするためのDITツールだったが、ここらへんの役割をFrame.ioに持たせるかもしれない。

個人的な妄想としては動画の中で利用するテロップなどのテキストはレンダリングせずに見た目やアニメーションのみをブラウザ上で再現する機能などを搭載できれば、レビュアー(主にクライアントだろう)が動画をチェックしながらそれらの色や書体(アドビCC特典のあの書体たち限定)を変更するなどといったことが可能になるかもしれないと考えている。
そこまでとはいかなくても、すでにアドビが所有している膨大な資産を制作者とレビュアー双方が同じプラットフォーム上でやり取りできるような仕組みを搭載してくる可能性は高いはずだし、それができてこそDaVinci ResolveやFinal Cut Pro、Media Composerなどといった他社NLEソフトを使う人間に対しての差別化だろう。

今回の買収によりそういった対抗ソフトに対してのサービス提供はなくならないとしているが、僕を始めとして多くの既存ユーザーならびに「脱アドビ民」が気にしているのは価格について何か動きがあるのかどうかということであるかもしれない。

この点に関しては少なくともAdobe CCユーザー以外には今後2,3年以内であればほぼ変化がないと思えるがAdobe CCユーザーにとってはどうだろう…まさかFrame.ioを強制的にCCに付帯させて価格をつり上げるようなことはしないだろうが、割安価格で利用できるオプションとして用意するのか、それともFrame.ioはあくまでもFrame.ioとして現在と同じく個別のサービスとして存続するのだろうか(こちらの方が多くの人にとっては喜ばしいことかもしれない)。

一応Frame.ioに対する唯一の不満、それも大きな不満があることを付け加えておく。
大きな不満、それは「RAWデータに非対応」なこと。CinemaDNG RAWやBlackmagic RAWに対応していないためチームを組んだ際などにうまくそのメリットを活かし切れない(例として、Frame.ioはDaVinci Resolveと完全に統合されていてメディアプールからFrame.ioに保存してある各クリップを配置することが可能ではあるものの、これがRAW素材になると読み込めないどころか最悪アプリが強制終了してしまう)。

RAWデータを扱うとなるとサービスの性質上サーバー側でそのレンダリングを行う必要が発生してしまうということなのかもしれないが、ここまで動画でのRAWデータが身近になった今それに対応しないというのでは片手落ちといった印象が拭えない、とにかく早い対応を願う。

最後になるが、Frame.ioの買収額が12億7500万ドル(約1400億円)というとてつもない金額に驚いた。が、買収といえば、最近話題になったSalesforceによるSlackの買収額が約277億ドル(約3兆円)。ということは今回の買収劇の20倍以上の規模なのでFrame.ioの買収金額はそこまで大した規模ではないのかもしれない…世界は広い。

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