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Adobe Premiere RushがM1 Macに対応(に想うこと)

Premiere Rush(プレミアラッシュ)が最新バージョンである1.5.58でM1チップ搭載のMacにネイティブ対応したと知った瞬間、てっきりPremiere Proのことだと勘違いして「意外に早かったな」なんて考えてしまった僕だが、まさかほとんどニーズのなさそう(失礼)なRushをわざわざM1 Macに対応させてくるとは驚きだった。

M1 Macへの対応が遅れている理由を考える

別にAdobe製品だけがM1 Macへの対応が遅いというわけでもないのはIs Apple Silicon Ready?を確認すればすぐに分かることではある。
ただ、その対応状況を示したリストを眺めていると比較的新しいソフトの方がM1 Macへの対応速度が早そうだという気がしていて、そこはやはりモダン(SwiftやらMETALやら、そういうモノを利用して作ったソフト的な意味合い)なアプリの方がモダンなプラットフォームに対応させる際の作業量は少なくて済むということなのかもしれない。

M1 Macへの対応状況を確認できる「Is Apple Silicon Ready?」。
M1 Macへの対応状況を確認できる「Is Apple Silicon Ready?」。

DaVinci ResolveはM1 Macとほぼ同時といってもいいくらいのスピード感でM1 Macに対応させてきたが、DaVinci Resolveはそもそもほとんどの処理をGPU側でこなしてしまうという強力な土台がある関係上あまりCPUに依存する必要がないソフトではある。
そのGPU処理にしてもOpenGLやOpenCL、そしてApple独自のAPIであるMETALに対するノウハウもかなり蓄積しているハズで、そういった諸々の条件が重なった結果がM1 Macへの対応スピードに表れたのだと考えている。

逆にいうと、PhotoshopやPremiere Pro、After Effectsといった多くのアドビ製品はGPU処理の割合が低く、昔ながらのCPU頼みの処理が多くあるために移植を難しくしてしまっている可能性があるということだ。

iPad版Photoshopの完成度とM1対応の関係性

僕は使用したことがないものの、リリース直後は散々な評価となってしまったiPad版Photoshop。

その後、徐々にではあるもののアップデートとともにデスクトップ版に元からあった機能を追加し今ではそれなりの完成度になっているようだ。

10年前なら問題にはならなかったかもしれないが、iPad版がリリースされた2019年にはAffinity Photoをはじめ、様々な画像加工アプリがiPadには存在していたためにiPad版Photoshopへの風当たりがキツくなってしまったのは間違いないが、アドビはそれを承知の上でリリースしたはずだ。

アドビとしてはプラットフォームが違うとはいえファイルの互換性は立場上重視しなければならない。
そのためには処理方法をデスクトップ版と歩調をある程度合わせなければならず、それが原因で「超」機能限定版というカタチでのリリースとなったのだと思うが、そこでもやはり既存のPhotoshopをモダンなプラットフォームへ移植するという作業の難しさを露呈してしまっているし、それがそのままM1 Macへの移植状況と重なっているように僕には見えてしまう。

乱暴にいってしまえば「iPad版Photoshopを完全なカタチでリリースできていたならそもそもM1 Macへの対応はあっという間だったハズ」というわけだ。

3〜5年ほど前からSNSでことあるごとに発信しているが、僕としては早いうちにフルスクラッチ版としてモダンな作りにしたPhotoshopをベータ版としてリリースし、それを並走させるカタチで徐々に機能追加させるなどして既存のPhotoshopとの差異がある程度縮まった段階でリプレースすべきだと考えている。そうでもしないとPhotoshopのパフォーマンスは今後も落ち込んでいくばかりで、さすがにそれは勿体ない。

クリエイティブ業界を引っ張るアドビだからこそ、これまで築き上げてきたレガシーをレガシーとせず、新たなクリエイティブツールとして蘇らせるくらいの冒険をしてもらえると他のメーカーにもいい刺激になって楽しくなる、と考えるのです。

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