去る1月16日にYouTubeのパートナー プログラム(配信者側が広告収益などを得られるようにするためのプログラム)が改訂されたのを知っている人はどれくらいいるだろうか。
この記事では、社会全体から見れば小さな話題だけど、株やBitcoin同様、影響を受けまくる人はとことん受けるという暗い話題に少しでも光明を見いだせればと思い、ちょっと違った目線で話を進めていく。
突然のYPP改訂、インターネット上で飛び交う悲鳴
その前に今回の話題の全容とその影響を見ていこう。
先日、YouTubeを運営するGoogleが発表した新しいYouTubeパートナー プログラム(以下YPP)によれば、今後クリエイターが動画から広告収入を得るためには最低でも以下の条件をクリアしなければならなくなる。
- チャンネル登録者が1000人以上いること
- 過去12ヶ月の間の再生時間が4000時間以上であること
この2つを満たしてようやく審査の対象となるということで、去年の中頃に改定された「広告収益を得るためには10000回以上の再生回数が必要」だけだったことを考えるとかなり飛躍した発表だったことが分かる。
弱小ながらも収益を上げている身からすると12ヶ月で再生時間で4000時間を突破するのは現実的に早い段階から狙える数字ではあるものの、チャンネル登録者を1000人突破させるというのは正直相当辛いと思う。多分、YouTubeで収益を狙っている人の多くが1000人未満なんじゃないだろうか。
実際、インターネットで今回の件を調べていくとどこもかしこも悲痛な書き込み・記事ばかり。ポジティブに受け止める人の少ないことに見てるこっちが辛くなるほど。
なんでこうなった?
今回のYPP改定によりYouTubeへの新規参入組が萎縮するのは間違いないどころか、これまで頑張って活動してきたクリエイターにまで水を差しかねないほどの改定をなぜGoogleは決断したのか。下手をすれば将来的に大きなロスが発生する可能性があるにも関わらずそうしたのはここ最近の複数の問題が大きく影響していると考えられる。
去年、ニュースに取り上げられるほど話題になっていた外国人YouTuber、ローガン・ポール氏による不適切な動画問題はもちろん、もっと前から話題になっていた不適切な動画コンテンツに広告が入っていたことによる広告ボイコット問題などもあり、ここ1年ほど、Googleはこれまでにないほど日々配信され続ける数多のコンテンツ群に神経を尖らせていた。Facebookも似たような問題に直面しているようだけれど、Googleは早い段階で強烈な「次の一手」を打ってきたということだろう。
Googleの決断は先行者とそれ以外の人間の格差を拡大する
今回の発表はこれまでYouTubeというステージで明るい未来を夢見て頑張っていたクリエイターの多くを悲しませることになったものの、何はともあれGoogleからの発表はあったし、それが実行に移されるのは来月からだ。先に記した条件を満たせない大勢のYouTuberは残念ながら当分の間自分のコンテンツからは広告収益を得ることができなくなってしまう(Googleからその旨の内容でメールが送られてくるらしい。コワイ)。
僕のチャンネルは大丈夫かって?安心して(僕が1番安心した)、条件はギリギリでクリアしている。これ以上規約が厳格化したら振り落とされそうだけど、ひとまず今はまだ大丈夫。
で、結局これによる影響、というか「誰が得をして、誰が損をするのか」ということを浅はかではあろうと思いつつも考えてみたい。
単純に考えて、当面の間は新規参入組が減る(現状頑張っている新参組も減ると予想)と仮定。そうすると必然的にアップロードされる動画の数は減るはず。
そう、アップされるコンテンツの数は減る。でも広告の数は変わらない(多分)、ということは「今後、動画で広告収益をあげられる人間はさらに多くの収益(広告が挿入される確率が高くなる)が期待できる」ということ。
この考えが正しければ、今回のGoogleの決断は先行者(=大物YouTuber)の利益を加速させることに繋がるんじゃないだろうか。
確かに、条件をクリアするまでは楽な道じゃないし時間もかかるかもしれない。でも、苦しんでいるのは他のクリエイターも同じ。先にこの難関をクリアしてしまえばその先には実入りのいいい、バラ色の未来が待っているハズと思い込むのは・・・きっと都合が良すぎなんだろうなあ。
グラフィック制作・PVやYouTube用の映像制作をやりつつ、YouTubeでのチャンネル運営サポートやコンサルティング、勉強会といったことを扱ってます。
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