”オンラインコミュニティーStep2”

FusionがAfter Effectsに取って代わると考える7つの理由

Fusionをきちんと使い始めて3年ほど経過したが、その凄さや面白さ、可能性について自分なりにまとめ、それをAfter Effectsと比べることで明確に見えてきたFusionならではの強み、それこそAfter Effectsに取って代わる可能性があると思える点を7つ挙げていく。

結果、Fusionが超スゴイというよりAfter Effectsがアレ過ぎるという結果になった気がしている。

理由1:無償版でもほとんど制限なし

まずは何といても無償版の存在がある。最近までは単体版のDaVinci ResolveとFusionはお互いに別のソフトとして存在していたが、ここ最近のバージョンからはDaVinci ResolveにFusion内包されることになりその導入ハードルはより一層低くなった。Blackmagic Designに買収されるまで業界のハイエンドVFXツールとして活躍していた高価なソフトであり、海外のフォーラムなどではあのNuke(ヌーク。映画製作などで使われるコンポジット・VFX用ソフトでハイエンド&メジャー)からのスイッチ組が増えてきているということもわかる。

無償版と有償版、ふたつのDaVinci Resolve
無償版と有償版、ふたつのDaVinci Resolve

さらに、Blackmagic Designは昔からそうだがその無償版に対する制約が極端に少ないのも特徴で、初心者ユーザーが一般の利用で不都合が出るような制約はほぼない。初めて触れた人は慣れてから有償版を購入してしまえばいいが、バージョン17から有償版のDaVinci Resolve Studioを1ライセンス購入すると、それと同時に単体版のFusion Studioまで利用できるようになってしまう。もはや頭がおかしいとしか思えないようなバーゲンセールだ。

理由2: DaVinci Resolveに内蔵されてパフォーマンス良好

DaVinci Resolveに内包されることになったFusionだが、そのおかげでフュージョンの動作パフォーマンスはアドビのPremiere ProとAfter Effectsを結ぶDynamic Linkを使った連携と比べると大分良好なように感じている。
PrとAeを使っていた頃は別々のソフトということもあり、ソフトを跨ぐことによるパフォーマンスのロスを感じていただけでなく、Aeで加えた音源がPrで再生されないことや、Aeでの変更がなかなかPrに反映されないなど、安定した運用は難しかったことを考えるとFusionの機能を内包してしまったのは理に適っているのかもしれない。
ただひとつの懸念材料としてはソフト自体の肥大化で、これによる動作速度の低下は現状では確認できていないが多機能化に伴い変化していく可能性がある。

理由3:マシンの性能に応じて使い勝手も向上

DaVinci Resolve含めFusionの強みだと思える部分にマシンの性能をうまく引き出してくれるが、その理由がGPU。
どちらもCPUをあまり使わずとにかくGPUを使いまくる。特にDaVinci Resolveは有償版限定とはなるがマルチGPUに対応しとにかく速い。
あまり詳しくない人のために書いておくと、仮に50万くらいのPCがあるとして、そのCPUとGPUの性能差は2,3倍どころではなく10倍近くなることもある(処理の得手不得手といった要素は除く)。この強力なGPU性能をうまく引き出せるかどうかでそのソフトのパフォーマンスが決まるが、CPUへの依存を抜け出せずGPUに関しては表層的な利用でセールストークに使っているだけのソフトが少なくない印象。

よくPCメーカーが「クリエイター向けPC」というものを出しているが、例えばPhotoshop向け〜というのはソフト側がうまくマシンの性能を引き出せるような作りであるなら10万程度のPCでも十分すぎるのに、そこに2,30万円のマシンを購入しないとロクに動作しないPhotoshopが如何に古くさく過去の遺物か…ここに関しては言いたいことが山ほどあるが割愛。要はモノづくりするのに数十万もするマシンを購入する必要はない、ソフトが満足に動かないのはマシンに問題があるのではなくそのほとんどがソフトそのものにあるということだ。
最新のMacBook Airであれば15万円程度の構成で4Kコンテンツを編集・カラコレ・Fusionを通して快適に作業できる可能性が高い(メモリ消費量の比較的高いFusion含めたテストをした人を見かけない。誰か出してくれないものか…)。

MacBook Airのカスタマイズ画面。メモリが16GBというのは心もとないが、そこは最新のアーキテクチャーに期待するしかない。
MacBook Airのカスタマイズ画面。メモリが16GBというのは心もとないが、そこは最新のアーキテクチャーに期待するしかない。

理由4:モーショングラフィックスをしっかり作ることができる

モーショングラフィックスを作るためのソフト選びで真っ先に浮かんでくるであろうAfter Effects。いくつかの不満はあるもののアドビ製品としては未だ好きなソフト(このソフトだけだが)で、After Effectsで作られた作品を目にする機会は多いし習得するためのリソースも無数にある。

じゃあFusionでモーショングラフィックスを作ることができないのかというと全くそんなことはなく、過去にAfter Effectsを使ってモーショングラフィックスを作っていた僕からすると正直あまり感覚的に変わることなく使えている。

ここらへんは先日リリースしたFusion基本マスターコースを見てもらえればすぐに分かるが今風の表現で簡単なモノならあっという間に作ることができるし、当然それを発展させることによって業務レベルの規模の大きなアニメーションに活用することもできる。こういった部分がほとんど知られていないのかどうなのかは知らないが、国内でマトモなモーショングラフィックス制作に関するチュートリアルがほぼゼロということは個人的にかなり残念ではあるが、無償ということもあるので時間がかかっても徐々に普及していってくれることに期待している。

最新バージョンからそういった用途に多用できそうな「シェイプツール」も追加。これを機に普及のスピードもあがる…といいなあ。

Fusion基本マスターコースで作るモーショングラフィックス。当然Fusionで制作。
Fusion基本マスターコースで作るモーショングラフィックス。当然Fusionで制作。

理由5:ネイティブな3D空間

Fusionは完全な3D空間を扱うことが可能。このメリットはいくつもあるが、パーティクルを3D空間上で使うと別オブジェクトへの回り込みを特別意識することもなしに実現することができるため容易にリアリスティックな表現が可能だ。
After Effectsは最近になってCinema 4Dとの連携によって3D空間を扱えるようになってはいるもののやはりパフォーマンスが悪い。もちろんFusionであれば別のソフトを経由することなしに3Dデータを読み込んだ上で3Dビュー上で自由に視点移動やライティングといった作業が可能。

Fusionでの3D空間
Fusionでの3D空間

理由6: 32ビット処理がベースで処理も高速

Fusionは設定次第で8〜16ビット(浮動小数点)といった変更はできるものの基本的には32ビット処理だ。これは映画製作を念頭に開発された背景を考えれば当然のことで、この状態でスイスイと動作する。それでいてメモリの使用量もそう多くなく、4Kプロジェクトであれば64GBのメモリを積んだMacBook Proでも十分にこなせてしまう。しかも、ここは重要なポイントになるが、実はこのFusion、バージョンが上がる毎にどんどん高速化している。

先にソフト自身の肥大化を心配していると書いたが、実は昔からFusionは様々な機能をCPU処理からGPU処理へと移行して高性能なマシンの性能を活かせるようアップデートされていた。
それによってアップデートを重ねるたびに確実に高速化してきたFusionだが、今回のバージョンもアナウンスがなかったにも関わらず、テストしてみたところ通常のプレビュー速度やレンダリング速度が前バージョンと比べ2,3倍高速化していた。この点についてBlackmagic Designの岡野さんに確認してみたところアナウンスこそしていないものの、Fusionの内部処理にもかなり手を入れたとのことだ。

Fusionは32ビット処理をベースとしつつも軽快な動作、これはとても大きな強みであるのは間違いない。

対するアドビのAfter Effectsは昔から8ビットがベースでありそれは多分今も変わらないだろう。だとすると写真や動画のカラコレ、グロー系のエフェクト多用するプロジェクトでは16ビット処理に切り替える必要のある場面が出てくるだろうが、はっきりいってAfter Effectsの16ビット処理は遅すぎる上にメモリの喰い方が尋常ではなさすぎて、64GBのメモリを搭載したMac Pro 2013を利用していた時はせいぜいフルHD案件くらいでしか16ビット以上に切り替えたいとは思わなかった。

アドビはあんなにパフォーマンスの悪いAfter Effectsを8K以上のプロジェクトで利用されることは想定していないのだろうか、もし想定しているのであればどこかの時点でAfter Effectsに対し大規模な改修を行う必要があるだろうが、それでAfter Effectsが劇的に進化するのだということをアドビに期待するのは長年のユーザーであれば「過度な期待は禁物。変わってくれたら超ラッキー」となるだろう。

僕がここまでパフォーマンスの件についてAfter EffectsやPremiereを引き合いに出すのには当然理由がある。GPU処理に対応してパフォーマンスアップ的なアナウンスとは裏腹に一向に上がらないパフォーマンス。100万円のMac Proと10万円のMac Miniのパフォーマンスがほとんど同等…こういった場面に何度遭遇したことか。しかもそれがAfter EffectsやPremiere、さらにはPhotoshop、Illustratorなどなど全てに対してあったのだからそれで見限られない方が僕にとっては不思議だ、2010年あたりからすでに脱アドビを想定し複数のクリエイティブツールを試していた。

理由7:ノードの組み合わせ次第でほぼ無限の表現が可能

画面を覆い尽くすノードの数々。これでもまだ序の口、この数倍規模程度は日常茶飯事。
画面を覆い尽くすノードの数々。これでもまだ序の口、この数倍規模程度は日常茶飯事。

最後になるが、Fusionはその道のプロからするとパーティクル機能が弱いといった声などは聞くがノードの組み合わせ次第でほぼ無限といっていいほどの表現が可能だ。
Fusionの欠点のひとつにプラグインの不足が挙げられるが、そんなプラグインの不足を補ってあまりあるほどの表現が可能で、とある著名なFusionユーザー(ユーザー歴20年以上)によると長年Fusionを使ってきてプラグインの不足に困ることはほぼないとのこと。必要な効果があれば全てノードでオリジナルエフェクトを作り、それを随時アップデートして使い回すというようなことをされているそうだ。

そういったプラグインやノウハウの不足が問題点ではあるものの、それは今後の課題としてまずはとにかく高い表現力を持つFusionの可能性に触れてもらいたい。慣れるとFusion…ホントにバケモノ。

以上となる。比較しているアドビ製品が2年ほど前のものをベースとしている関係上、ひょっとすると文中にある内容とは食い違っている部分があるかもしれない。もしそういった部分にお気付きの方がいたらぜひコメントにその点指摘してもらえるとありがたい。
長々書いてきたが、これを読んでFusionに興味を持ち始めた方がいればこれ以上の喜びはないし、そんな方も是非ともコメントにその旨書き込んでほしい。

DaVinci Resolve(ダビンチリゾルブ)の基本的な使い方を解説した無償の動画教材「DaVinci Resolve基本マスターコース エクストリーム -Lite-」を配布しています。エディットページやカラーページ、Fusionの概要や大まかな機能について解説しています。

「DaVinci Resolve基本マスターコース エクストリーム -Lite-」紹介ページ
https://kyokuti-creator-school.teachable.com/p/davinci-resolve-extreme-lite

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